今回ご紹介するのは、「CIO NovaPort TRIO 140W」という超パワフルなUSB-C充電器です。USB PD 3.1・最大140Wの充電に対応し、3つのUSB-Cポートを搭載。あらゆるデバイスを高速に充電できます。
後半では「他の140W USB-C充電器との違いは?」というところについても比較・解説しています。興味のある方はぜひチェックしてみてください!
- USB PD 3.1 EPR対応で最大140Wの充電が可能
- 3ポート搭載で複数デバイスを同時に急速充電できる(合計最大142W)
- 140W USB-C充電器のなかでトップクラスのコンパクトさ・軽さ
- 接続デバイスに応じ適切な電力を振り分けてくれる
- 発熱が少ない、温度監視による安全設計
- そもそもUSB PD 3.1 EPRによる充電に対応するデバイスが少ない
- オーバースペックにならないか確認が必要
- 複数デバイス同時充電時に充電の瞬断が発生する
CIO NovaPort TRIO 140Wとは?
「CIO NovaPort TRIO 140W」とは、株式会社CIO(大阪府守口市)がクラウドファンディング「Makuake」にて発表したUSB充電器です。応援購入総額は2,100万円以上、サポートは2,500人以上と、いかに注目度が高いプロダクトなのかがうかがえます。
なお現在においてはプロジェクトは終了しており、応援購入した筆者の手元には2023年5月24日に届きました。
CIO NovaPort TRIO 140Wの特徴は以下のとおりです。
- USB PD 3.1 EPR対応で最大140Wの充電が可能
- 3つのUSB-Cポートを搭載し、あらゆるデバイスを同時に急速充電できる(号駅最大142W)
- 充電デバイスに応じて各USB-Cポートに自動的に最適な電力を振り分け(Nova Intelligence)
- GaN(窒化ガリウム)採用で放熱性に優れた設計
- 温度を監視し発熱を自動コントロール(Nova Safety)
- 140WクラスUSB充電器では最小・最軽量クラス
仕様
CIO NovaPort TRIO 140Wの詳しい仕様は以下のとおりです。
CIO NovaPort TRIO 140Wの仕様
製品名 | CIO NovaPort TRIO 140W |
---|---|
外観 | |
入力 | 100-240V~ 50-60Hz 2A |
USBポート | USB-C x 3 |
USB-C1/C2/C3出力 | 5V⎓3A / 9V⎓3A / 12V⎓3A / 15V⎓3A / 20V⎓5A / 28V⎓5A(最大140W) 【PPS】3.3-11V⎓5A |
合計出力 | 最大142W(3ポート同時使用時) |
サイズ | 約69 x 63 x 29.5 mm |
重量 | 約227 g |
カラー | ブラック/ホワイト |
パッケージ内容 | CIO NovaPort TRIO 140W 取扱説明書 |
価格(税込) | 12,980円(一般販売価格) |
製品ページ | Amazon |
届いた製品にはUSB-Cケーブルは含まれていませんでした。すでに持っているものを使用するか、お持ちでなければ別途用意する必要があります。
61W〜100Wの充電を行う場合は5Aに対応するUSB-Cケーブル、100Wを超える充電にはUSB PD 3.1 EPR対応のUSB-Cケーブルを使用する必要があります。詳しくは「100W対応のUSB-Cケーブル」でご紹介しています。
対応する急速充電規格
CIO NovaPort TRIO 140Wは、USB PD 3.1規格に含まれる給電モード「Extended Power Range(EPR)」に対応し、最大140Wの充電が可能です。
そのうたい文句どおりの仕様を持っているか、また他の急速充電規格への対応状況を確認してみました。
手元のUSB充電チェッカーでは、USB PD 3.1 EPR以外にも急速充電規格が検出されました。
対応する急速充電規格
USBポート | 急速充電規格 |
---|---|
USB-C1 USB-C2 USB-C3 | USB PD 3.1 / PPS Adaptive Fast Charging(Samsung) Fast Charge Protocol(Huawei) Smart Charge Protocol(Huawei) Quick Charge 4+(下位互換あり) Apple 2.4A |
USB-Cの規格上、本体はUSB PD以外の急速充電規格への対応を許可していません。つまり、CIO NovaPort TRIO 140Wは規約違反状態にあるUSB-C充電器ということになります。
続いてはUSB PDのPDO(Power Date Objet)を確認してみました。
製品に表示されている仕様のとおり、最大140W(28V/5A)の充電に対応しています。
同時充電時の電力振り分け
CIO NovaPort TRIO 140Wには3つのUSB-Cポートが搭載されています。複数のデバイスを接続したときには、それぞれのデバイスに最適な電力を自動的に供給してくれます(Nova Intelligence)。
複数ポート使用時の振り分け
ポート使用数 | USB-C1 | USB-C2 | USB-C3 | 合計出力 |
---|---|---|---|---|
1ポート | 140W | ─ | ─ | 最大140W |
─ | 140W | ─ | 最大140W | |
─ | ─ | 140W | 最大140W | |
2ポート | 100W + 30W / 67W + 67W / 30W / 30W / 45W + 20Wなど | 最大134W | ||
3ポート | 67W + 45W + 30W / 45W + 45W + 45W | 最大142W |
複数ポートを搭載するUSB-C充電のなかには、同時使用時の最大ワット数が固定されているものがあります。CIO NovaPort TRIO 140Wなら、スマホ+タブレット、タブレット+ノートPC、ノートPC+ノートPCなどあらゆる組み合わせにおいて自動的に最適な電力を供給してくれます。
CIO NovaPort TRIO 140Wの外観・デザイン
CIO製品をお使いの方にとってはお馴染みのデザイン。無駄な装飾がなく、かといって安っぽくないバランスのとれたデザインだと感じます。
外装はプラスチック素材となっており、表面にはCIO製品の特徴とも言える「シボ加工」が施されています。これにより傷が目立ちにくくなっており、またざらざらとした肌触りは個人的にも好みです。キラリと光るアルミも高級感を演出していますね。
全面に並ぶUSB-Cポートをよく見ると、挿し込み口にCIOのコーポレートカラーである紫が使われています。機能とは関係のないところですが、このような細かい部分にCIOのこだわりが見えます。
USB-Cポート間の間隔は広めにとられており、複数のUSB-Cケーブルを挿しても干渉することはなく、また抜き差しのしづらさもありません。
「これ1台持っていけばすべてのデバイスの充電をカバーできる」と言うほどのスペックを持つCIO NovaPort TRIO 140Wですが、コンパクトに持ち運べる「折りたたみ式プラグ」が採用されています。持ち運ぶUSB-C充電器には折りたたみ式プラグが必須です。
底面に製品の仕様と各種マークが表示されています。
CIO NovaPort TRIO 140Wのシンプルでミニマムなデザインを気に入る方は多いのではと思います。「持っていてちょっと嬉しくなる」ような魅力があります。
CIO製品についてはCIO NovaPort TRIO 140Wを含めいくつか所有していますが、ひと目でCIO製品と分かる一貫したデザインがいいですね!ついコレクションしたくなります。
140Wとパワフルなのにコンパクト&軽量
CIO NovaPort TRIO 140Wのサイズは約69 x 63 x 29.5 mm、重量は約227 gと、140WクラスのUSB-C充電器ではトップクラスにコンパクト&軽量です。
重量を確認してみると実測で234.8 gでした。公称では約227 gですが、一般販売前のタイミングになるので若干前後する可能性があります。
MacBook Pro 16インチ(2023/2021)に付属されているApple 140W USB-C電源アダプタのサイズは約96.2 x 75.1 x 28.5 mm(筆者調べ)。CIO NovaPort TRIO 140Wは、Apple 140W USB-C電源アダプタと比較して約37.7%小さい計算になります。
USB PD 3.1による充電に対応するデバイスはMacBook Pro 16インチや一部のWindowsノートPCなど限られますが、それらの代用充電器にぴったりです。
そのほかUSB PD 3.1対応で最大140Wの充電に対応するUSB-C充電器と比べても、CIO NovaPort TRIO 140Wはトップクラスのコンパクトさ&軽量さです。
以下はUSB PD 3.1・最大140Wに対応するUSB-C充電器の比較表です。
製品名 | CIO NovaPort TRIO 140W | VOLTME Revo 140 | Apple 140W USB-C電源アダプタ | UGREEN Nexode 140W | Anker 717 Charger (140W) | MATECH Sonicharge 140W |
---|---|---|---|---|---|---|
外観 | ||||||
搭載ポート | USB-C x 3 | USB-C x 2 USB-A x 1 | USB-C x 1 | USB-C x 2 USB-A x 1 | USB-C x 1 | USB-C x 2 USB-A x 1 |
USB-C最大 | 140W | 140W | 140W | 140W | 140W | 140W |
USB合計最大 | 143W | 140W | 140W | 140W | 140W | 140W |
サイズ | 約69 x 63 x 29.5 mm | 約77.5 x 73.5 x 31.5 mm | 約96.2 x 75.1 x 28.5 mm | 約75.9 x 75.9 x 34.7 mm | 約68 x 59 x 31 mm | 約73.2 x 73 x 29 mm |
重量 | 約227 g | 約270 g | 約277.6 g | 約294.5 g | 約235 g | 約257 g |
価格(税込) | 12,980円 | 11,980円 | 13.242円 | 14,980円 | ─ | ─ |
1Wあたりの価格 | 91.41円 | 85.57円 | 94.59円 | 107.00円 | ─ | ─ |
1Wあたりの体積 | 0.90 ㎤ | 1.28 ㎤ | 1.47 ㎤ | 1.43 ㎤ | 0.89 ㎤ | 1.11 ㎤ |
1Wあたりの重量 | 1.60 g | 1.93 g | 1.98 g | 2.10 g | 1.68 g | 1.84 g |
販売ページ | Amazon | Amazon | Apple公式 Amazon | Amazon | ─ | ─ |
△ スマホでは横スクロールできます。
3辺の長さを掛け合わせた体積とUSB合計最大ワット数から「1Wあたりの体積」を算出しています。CIO NovaPort TRIO 140Wがトップクラスにコンパクトで軽量で軽量であることが分かります。
もっともサイズ・重量が近いのはAnker 717 Charger(140W)です。ほぼ同じサイズ感ではありますが、ポート数の違いを考えるとCIO NovaPort TRIO 140Wに軍配が上がります。なお、Anker 717 Charger(140W)は販売を終了しているようです。
高い性能を持つUSB-C充電器ということもあり、サイズ・重量ともそこそこありますが、この充電性能・3ポート搭載でこのサイズ感は魅力的です。
USB PD 3.1 EPR対応で最大140Wの充電が可能
続いてはCIO NovaPort TRIO 140Wの充電性能についてみていきます。
上ではMacBook Pro 16インチを充電しています。USB充電チェッカーで確認してみると、約138Wと140W近いワット数で充電できていることが分かります。チェッカーにも表示されていますが、しっかり「PD 3.1 EPR」で認識されていますね。
続いて最大140Wの入出力に対応するモバイルバッテリー「Anker 737 Power Bank」を充電してみます。
このモバイルバッテリーには入出力のワット数を確認できるディスプレイが搭載されています。「約123.3W」と表示されており、100Wを超えるワット数で充電できていることが確認できます。
続いて手元にあるASUSのゲーミングノートPCを充電してみます。
すると約92Wで充電されていました。このノートPCはUSB PD 3.1には対応しておらず、USB PD 3.0の最大100Wの充電までとなります。
続いてM2 MacBook Air(2022)を充電してみます。
こちらでは約68Wで充電できています。M2 MacBook AirもUSB PD 3.1に対応していません。このワット数がこのデバイスの最大値となります。
CIO NovaPort TRIO 140Wでどれくらいのワット数で充電できるかは充電デバイスの仕様によります。現状USB PD 3.1に対応するデバイスはごく限られており、最大140Wの恩恵を受けられない場合がほとんどですのでご注意ください。
とはいえ、USB PD 3.1に対応するデバイスはノートPCを中心にさらに増えてくるはず。CIO NovaPort TRIO 140WはUSB PD 3.1に対応するデバイスを高速に充電できる次世代のUSB-C充電器です。
あらゆるデバイスを同時に急速充電
CIO NovaPort TRIO 140Wには3つのUSB-Cポートが搭載、合計最大142Wの充電に対応します。もうなんでもこいの充電性能ですね。
3台同時に充電してみると、M2 MacBook Airでは約63W、iPad Pro 12.9インチでは約34W、iPhone 13では約24Wで充電できていました。いずれもフルスピードで充電できている状態。
この3台セットは個人的に持ち運ぶことが多いので、それらをまとめて充電できるのは非常に便利!CIO NovaPort TRIO 140Wを手に取る回数は多くなりそうです。
CIO NovaPort TRIO 140Wでは接続デバイスに応じて自動的に電力を振り分けてくれます。上の場合ではおそらく67W + 45W + 30Wで振り分けられているかと思いますが、「どのUSBポートにどのデバイスを挿すか」を意識する必要がないのでラクですね!
上ではMacBook Pro 16インチとM2 MacBook Airを充電しています。MacBook Pro 16インチでは約64W、M2 MacBook Airでは約62Wで充電できています。この場合は67W + 67Wで振り分けられているかと思われます。
高い充電性能はもちろんですが、「とりあえず挿せば勝手にいい具合に充電してくれる」というのは非常にラクです。この点はCIO NovaPort TRIO 140Wを選ぶ理由にひとつになりそうです。
なお、複数デバイス同時充電時において、ケーブルの抜き差しによって充電の瞬断が発生します。これは電力の再振り分けにともなう瞬断かと思われます。その後すみやかに充電が開始されるため使用に問題ありませんが、気になる方はご注意ください。
【比較】他のUSB PD 3.1対応・140W USB充電器と何が違う?
私はMacBook Pro 16インチユーザーということもあり、USB PD 3.1・最大140Wに対応するUSB-C充電器を複数所持しています。
再掲
製品名 | CIO NovaPort TRIO 140W | VOLTME Revo 140 | Apple 140W USB-C電源アダプタ | UGREEN Nexode 140W | Anker 717 Charger (140W) | MATECH Sonicharge 140W |
---|---|---|---|---|---|---|
外観 | ||||||
搭載ポート | USB-C x 3 | USB-C x 2 USB-A x 1 | USB-C x 1 | USB-C x 2 USB-A x 1 | USB-C x 1 | USB-C x 2 USB-A x 1 |
USB-C最大 | 140W | 140W | 140W | 140W | 140W | 140W |
USB合計最大 | 143W | 140W | 140W | 140W | 140W | 140W |
サイズ | 約69 x 63 x 29.5 mm | 約77.5 x 73.5 x 31.5 mm | 約96.2 x 75.1 x 28.5 mm | 約75.9 x 75.9 x 34.7 mm | 約68 x 59 x 31 mm | 約73.2 x 73 x 29 mm |
重量 | 約227 g | 約270 g | 約277.6 g | 約294.5 g | 約235 g | 約257 g |
価格(税込) | 12,980円 | 11,980円 | 13.242円 | 14,980円 | ─ | ─ |
1Wあたりの価格 | 91.41円 | 85.57円 | 94.59円 | 107.00円 | ─ | ─ |
1Wあたりの体積 | 0.90 ㎤ | 1.28 ㎤ | 1.47 ㎤ | 1.43 ㎤ | 0.89 ㎤ | 1.11 ㎤ |
1Wあたりの重量 | 1.60 g | 1.93 g | 1.98 g | 2.10 g | 1.68 g | 1.84 g |
販売ページ | Amazon | Amazon | Apple公式 Amazon | Amazon | ─ | ─ |
△ スマホでは横スクロールできます。
残念ながらAnker 717 Charger(140W)とMATECH Sonicharge 140Wは在庫なしで買えない状態ですが、それぞれを比較するとコンパクトさと軽さではCIO NovaPort TRIO 140Wが有利です。
ただし、CIO NovaPort TRIO 140WにはUSB-Aポートがないことには注意です。最近ではUSB-Cが主流と言えども、USB-Aポートが必要な場面もまだあります。USB-Aポートが必要な方には「VOLTME Revo 140」がおすすめ。
CIO NovaPort TRIO 140Wよりはサイズ・重量ともアップしますが、搭載ポートや価格を含めバランスのとれたUSB-C充電器です。
USB-Cポートのみで問題なければ、CIO NovaPort TRIO 140Wを買いでOKです。
CIO NovaPort TRIO 140Wレビューまとめ
今回はUSB PD 3.1・最大140Wに対応する超パワフルなUSB-C充電器「CIO NovaPort 140W」をご紹介させていただきました。
同等の充電性能を持つUSB-C充電器は選択肢が少ないものの、そのなかでもCIO NovaPort TRIO 140Wのコンパクトさ・軽量さはトップクラス。最大140Wの充電が可能なノートPCをお持ちの方にはドンピシャにハマるはずです。
対応デバイスをお持ちでない方でも、中型・大型デバイスを同時に急速充電したいという方であればCIO NovaPort TRIO 140Wを選ぶメリットがあります。ノートPCを2台、あるいは3台同時に充電できるほどのUSB-C充電器はなかなかありません。