これまで僕は、常に「iPad Proの小さいほう」を選んできました。それは「持ち運び」を考えてのことなのですが、新型iPad Proが登場したのを機に、これまで選んできた小さいほうではなく、あえて大きいほう、12.9インチを選んでみました。
iPad Pro 12.9インチをしばらく使ってみて……非常に気に入りました。大きく重くなり「やっぱり持ち運びはキツイな」と感じながらも、「12.9インチを選んでよかった」と思うことも多々ありました。
本記事では、iPad Pro 11インチから12.9インチに買い換えてみて感じたことをまとめました。iPadにはたくさんの活用方法があり、ユーザーそれぞれの使い方があります。あくまでもいちiPad Proユーザーの主観的な感想ではありますが、「11インチと12.9インチ、どっちにしようか」と迷っている方は、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。
iPad Pro 11インチと12.9インチの違い【比較】
まず以下の3点について、iPad Pro 11インチと12.9インチの違いをご紹介します。
- サイズと重量
- スペックの違い
- 価格の違い
サイズと重量
iPad Pro 11インチと12.9インチのサイズと重量をまとめました。
モデル | 高さ | 幅 | 厚さ | 重量 |
iPad Pro 11インチ (第3世代 / 2021年) | 247.6 mm | 178.5 mm | 5.9 mm | 466 g (468g) |
iPad Pro 11インチ (第2世代 / 2020年) | 247.6 mm | 178.5 mm | 5.9 mm | 471 g (473 g) |
iPad Pro 12.9インチ (第5世代 / 2021年) | 280.6 mm | 214.9 mm | 6.4 mm | 682 g (684 g) |
iPad Pro 12.9インチ (第4世代 / 2020年) | 280.6 mm | 214.9 mm | 5.9 mm | 641 g (643 g) |
11インチは前モデル(2020年)と同じサイズ、ほぼ同じ重量。12.9インチは5.9mmから6.4mmに厚くなっていますね。これはおそらく、12.9インチ(2021年)のみに搭載されている「Liquid Retina XDRディスプレイ」の影響なのでしょう。
11インチと12.9インチ、A4用紙を並べてみるとこんな感じです。
iPad Pro 12.9インチのサイズ感はA4用紙に近いですね!
スペックの違い
iPad Pro 11インチと12.9インチをスペック的に比較したときに、異なる点がひとつあります。それは搭載されているディスプレイ。
モデル | 搭載ディスプレイ | 詳細 |
iPad Pro11インチ(第1/2/3世代) | Liquid Retinaディスプレイ | ・IPSテクノロジー搭載11インチ(対角)LEDバックライトMulti-Touchディスプレイ・2,388 x 1,668ピクセル解像度、264ppi・最大輝度600ニト(標準) |
iPad Pro12.9インチ(第5世代) | Liquid Retina XDRディスプレイ | ・IPSテクノロジー搭載12.9インチ(対角)ミニLEDバックライトMulti-Touchディスプレイ・2,732 x 2,048ピクセル解像度、264ppi・最大輝度600ニト(標準)・フルスクリーンの最大輝度1,000ニト、ピーク輝度1,600ニト(HDR) |
両者ともLEDパネルなのですが、12.9インチには「ミニLEDバックライト」が採用されています。ディスプレイの裏側に1万個以上のLEDが配置されており、それらを2,596ものエリアごとに光を制御。そのおかげで「暗い部分はより暗く」、「明るい部分はより明るく」表現できるようになっています。
そのコントラスト比はなんと「100万:1」。これは約58万円で販売されているAppleのプロ向けディスプレイ「Pro Display XDR」と同じ数値です。
iPad Pro 11インチのLiquid Retinaディスプレイも十分キレイなのですが、12.9インチのLiquid Retina XDRディスプレイのキレイさは凄まじいものがあります。特にHDRビデオ再生時は圧巻です!
価格の違い
「11インチ12.9インチ、どっちにする?」という問題には、どうしても「価格」も関わってきます。ここでは、両者の価格をまとめました。
ストレージ | iPad Pro 11 | iPad Pro 12.9 |
128GB | 93,280円 (111,980円) | 129,800円 (147,800円) |
256GB | 106,800円 (124,800円) | 141,800円 (159,800円) |
512GB | 130,800円 (148,800円) | 165,800円 (183,800円) |
1TB | 178,800円 (196,800円) | 213,800円 (231,800円) |
2TB | 226,800円 (244,800円) | 261,800円 (279,800円) |
※価格は税込、カッコ内はWi-Fi + Cellularモデル |
11インチと12.9インチの価格差は、どのストレージ容量も同じく35,000円。この価格差をどう考えるかですが、個人的にはディスプレイが大きくなって、さらにPro Display XDRに匹敵するほどのキレイなディスプレイを搭載することを考えれば、むしろ価格差は小さいのでは、と感じます。
iPad Pro 11インチから12.9インチに買い換えてみて感じたこと
感じたメリットだけでなくデメリットも含めてご紹介していましょう。
持ち運びにくくなった
やっぱりこれですね。12.9インチなので当然ではあるのですが、携帯性は11インチよりも確実に落ちました。
サイズもそうですが、特に感じるのは重さ。11インチの重量は468g、それに対し12.9インチは684gもあります。僕はiPad Pro 12.9インチに「Smart Keyboaord Folio」を装着し持ち運んでいるのですが、その重量を足すと1kg越えです。
Smart Keyboard FolioやMagic Keyboardを検討されている方もいらっしゃるかと思いますので、iPad Pro本体と合わせた合計重量をまとめました。
Apple iPad向けキーボード | 重量 | iPad Proとの 合計重量 |
Smart Keyboard Folio (11インチ向け) | 約296 g | 約764 g |
Magic Keyboard (11インチ向け) | 約602 g | 約1,070 g |
Smart Keyboard Folio (12.9インチ向け) | 約410 g | 約1,094 g |
Magic Keyboard (12.9インチ向け) | 約691 g | 約1,375 g |
これがなかなかの重さなんです。iPad Pro 12.9インチに「Magic Keyboard」を装着すると、重量は約1.38kgにもなります。MacBook Pro 13インチの重量が1.4kg、MacBook Air 13インチの重量が1.29kgですので、ほぼ「ラップトップ一台分の重さ」ですね。
11インチを使っていたときは、まだ持ち出そうと気になれましたが、12.9インチでは「持っていかない」という選択をすることが明らかに増えてしまいました。
頻繁に持ち運ぶなら、iPad Pro 12.9インチよりも11インチ!
12.9インチは手持ちがつらい!
「手持ちでの使用が多い」という方も、12.9インチよりも絶対に11インチです。
- ソファでくつろぎながらWEBページを閲覧
- 手持ち状態でメモ・ノートをとりたい
- 屋外に持ち出して写真を撮りたい
上のような手持ちでの使用には、12.9インチは向きません。大きく重く、普通にしんどいです。
12.9インチは、基本デスクの上やスタンドにセットした状態で使うもの。こう考えておいたほうが無難です。
iPad Pro 12.9インチでは、長時間の手持ち操作はつらい!
Liquid Retina XDRディスプレイが楽しい!
僕がiPad Pro 12.9インチを選んだのは、「12.9インチのみに搭載されるLiquid Retina XDRディスプレイに魅力を感じた」という理由がいちばん大きいですね。
実際に、僕はLiquid Retina XDRディスプレイの恩恵をめちゃくちゃ感じています。特にこのディスプレイが活きるのは以下のようなシーン。
- iPhone 12などのHDRビデオ撮影対応のカメラで撮影したHDRビデオを観る
- YouTubeやNetflix、Amazonプライム・ビデオなどで配信されているHDRコンテンツの視聴
- HDRビデオの動画編集
僕はいま、iPad Pro 12.9インチでHDRビデオを観るのにハマってます。コントラスト比100万:1は伊達ではありません。引き締まった黒に、眩しいと感じるほどの白。めちゃくちゃキレイです。
iPhone 12シリーズはドルビービジョン対応HDRビデオの撮影に対応していますし、Androoidスマホにも対応のものがあります。コンデジやミラーレス一眼も対応しているものが少なくありません。
撮影したHDRビデオをHDRに未対応のディスプレイで観るのと、HDRに対応したディスプレイで観るのとでは、見え方が全然違います。
下はiPhone 12 Proで撮影したHDRビデオをiPad Pro11インチ、12.9インチで再生しているところです。
写真では違いをお伝えしにくく申し訳ないのですが、12.9インチで再生すると装飾のライトや光の反射がまるで実物を見ているかのよう。同時に暗い部分もしっかり描写されているので、11インチと比べても絵に立体感があり奥行きを感じます。
HDRビデオの撮影に対応するデバイスを持っていなくても、HDRビデオはYouTubeやNetflixでもたくさん観られます。HDRは以前よりも身近な存在になってきているので、それに魅力を感じられるのなら間違いなくiPad Pro 12.9インチです!
iPad Pro 12.9インチで観るHDRビデオが楽しい!
電子書籍がさらに読みやすくなった
iPad Pro 12.9インチに買い換えて、電子書籍を読むのがより快適になりました。
特に写真や図解が多用されている雑誌や勉強系の書籍が捗ります。ディスプレイサイスが大きいので、単純に読みやすい!
12.9インチなら参考書を読みながらノートをとる、なんてシーンも快適です!
iPad Pro 12.9インチで電子書籍が快適!ただし、長時間の手持ちはつらいので「ソファに寝転びながらラフに漫画を読みたい」という方には向かないかも。
大画面でマルチタスキングがより快適に!
iPad Pro 12.9インチなら、アプリを分割表示させる「スプリットビュー」が捗ります。
- 電気書籍を読みながらノートをとる
- 2つのWEBページを同時に表示させる
- WEBページを参照しながらブログを書く
- 写真アプリの画像をメールアプリにドラッグ&ドロップして添付
- カレンダーアプリを参照しながらタスク管理アプリを使用する
マップアプリを見ながら旅行計画を立てたり、Zoomでビデオ会議に参加しながらメモをとったりと、iPadでのマルチタスキングの活用方法はたくさんあります。
iPad Pro 11インチでもマルチタスキングは可能ですが、12.9インチなら画面の広さが活きます。2つのアプリを同時に表示させても、大きい画面を広々と使え快適。画面が広いとピクチャーインピクチャーでの動画再生も捗ります。
スプリットビューを多用する方は、画面が大きいiPad Pro 12.9インチがおすすめ!
【まとめ】iPad Pro 11インチと12.9インチはどんな人におすすめ?
iPad Pro 11インチから12.9インチに買い換えて満足しています。なぜいままで選択肢に入れなかったんだろうと後悔するほど。僕の場合、iPad Proを持ち出すことがあるといっても頻度はさほど高くありません。基本的にデスクの上に置いての使用が中心の僕にとっては、11インチよりも12.9インチのほうが合っていたようです。
最後に「iPad Pro 11インチがおすすめな人」と「iPad Pro 12.9インチがおすすめな人」についてまとめます。
- 外に持ち出すことが多い
- 手持ちで使用することがよくある
- 仕事や旅行、移動などで出先で使用することが多い
- 自宅や職場など、特定の場所での使用がほとんど
- デスクなどに置いて使用することが多い
- HDRビデオをフルに楽しみたい
- 絵やイラスト、画像・動画編集などのクリエイティブ系の作業に使用する
- スプリットビューやピクチャーインピクチャーをよく使用する
万人受けするのは、間違いなくiPad Pro 11インチです。11インチなら屋内使用中心でもなんら問題なく使用できますし、クリエイティブ作業でも活躍してくれます。手持ちでのライトな使い方から、ヘビーな使い方まで対応でき、そういう意味では11インチというサイズ感は絶妙だと感じます。
12.9インチの守備範囲はそれほど広くないですが、利用シーンがハマったときには11インチより力を発揮してくれますね。HDRビデオの視聴や快適なマルチタスキングは、12.9インチの大画面そして高コントラストを実現するLiquid Retina XDRディスプレイがあってこそです。
11インチと12.9インチ、あなたにはどちらが合っているでしょうか?ぜひこの記事を参考にしていただければと思います!
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