今回ご紹介するのは、USB充電器とモバイルバッテリーの1台2役をこなしてくれる「Anker 521 Power Bank (PowerCore Fusion, 45W)です。
コンセントに挿せば最大45WのUSB充電器として、コンセントから抜けば5000mAh搭載のモバイルバッテリーとして活躍してくれる2-in-1充電器。コンセントの有無にかかわらず活躍してくれる便利なアイテムです。
本記事では以下の点に注目してAnker 521 Power Bankをレビューしています。
- Anker 521 Power Bank (PowerCore Fusion, 45W)の仕様・特徴
- 充電に関する仕様、対応する急速充電について
- 外観・サイズ・重量
- USB充電器・モバイルバッテリーとして使用したときの充電ワット数
- 他の「コンセント付きモバイルバッテリー」との比較
- USB充電器 & モバイルバッテリー(5000 mAh)の2-in-1充電器
- USB充電器としては最大45Wとパワフル
- コンパクトで軽量、2-in-1充電器なのに持ち運びしやすい
- 本体を充電しながらのパススルー充電に対応
- モバイルバッテリーとして使用時は充電性能が低下する
- USB充電器として大きく重く、モバイルバッテリーとしても大きく重い
- 内蔵のリチウムイオンバッテリーには寿命がある
Anker 521 Power Bankの仕様・スペック
Anker 521 Power Bankの仕様をまとめました。
製品名 | Anker 521 Power Bank (PowerCore Fusion, 45W) | |
---|---|---|
入力 | AC | 100V – 240V ~ 50/60Hz |
USB-C | 5V⎓2.1A(最大10.5W) | |
バッテリー容量 | 5000 mAh | |
搭載ポート | USB-C x 2 | |
コンセント接続時 | USB-C1/C2出力 | 5V⎓3A / 9V⎓3A / 15V⎓3A / 20V⎓2.25A(最大45W) |
合計出力 | 最大45W | |
モバイルバッテリーとして使用時 | USB-C1/C2出力 | 5V⎓3A / 9V⎓2.22A(最大20W) |
合計出力 | 最大20W(2ポート使用時は合計最大18W) | |
サイズ | 約71 x 60 x 31 mm | |
重量 | 約200 g | |
カラー | ブラック/ホワイト/グリーン/パープル/ブルー | |
パッケージ内容 | Anker 521 Power Bank (PowerCore Fusion, 45W) 取扱説明書 最大30か月保証(24か月保証、条件付きで+6か月) | |
価格(税込) | 8,990円 |
USB充電器として使用時は最大45W、モバイルバッテリーとして使用時は最大20Wと、コンセントに挿したときとそうでないときで充電性能が異なる点には注意です。
カラーバリエーションはブラック、ホワイト、グリーン、パープル、ブルーの全5色あります。
今回レビューするのはパープル。日々持ち歩くものだからこそ、自分好みのカラーを選べるのは嬉しいポイントです。
パッケージ内容はAnker 521 Power Bank本体と説明書のみとなります。USBケーブルは付属されていないので別途用意する必要があります。
外観・デザイン
まずは、外観・デザインをみていきましょう。
外装はプラスチック素材となっており、表面はマットな質感となっています。安っぽさは一切なく、持っていて嬉しくなるような所有感すら感じさせてくれる雰囲気です。
USBポートが配置されている面には、わずかに光沢のある加工が施されています。シンプルながらもおしゃれで上品な印象を受けます。
プラグは折りたたみ式で持ち運び時には折りたたんでコンパクトにできます。
Ankerロゴの隣にあるのはボタンを押すとLEDランプが点灯し、4段階でバッテリー残量の目安を確認できます。
- 1つ点灯:25%
- 2つ点灯:50%
- 3つ点灯:75%
- 4つ点灯:100%
底面に製品の仕様やPSEマーク、リサイクルマークなどの各種マークが表示されています。
USB充電器やモバイルバッテリーのなかには、いかにも安っぽい外観のものが多いですが、デザイン面ではAnker製品が頭ひとつ抜き出ていますね。こだわりのようなものが感じられます。
外観で気になったのは、ブラックを選んだときに指紋汚れが目立ってしまうかも?ということくらい。手元にあるパープルでは一切目立たないので、これが気になる方はブラック以外がおすすめです。
サイズ・重量
Anker 521 Power Bankのサイズは約71 x 60 x 31 mmとなっています。
45Wクラスの充電器としては大きめですが、5000mAhバッテリーが内蔵されていることを考えるとコンパクトにまとめられています。
iPhone 12 Pro Max(160.8 x 78.1 x 7.4 mm)とのサイズ比較です。搭載するバッテリー容量と充電性能を考えるとコンパクトなのですが、「毎日持ち運びにはキツイかも」と感じる方もいるかもしれません。
幅は31 mmとスリムです。電源タップでの使用でも隣によほど大きい充電器がささっていない限りは干渉することはないでしょう。
上は私がよく使っている13インチノートPC向けのバッグです。コンパクトなAnker 521 Power Bankなら、サイドポケットにゆとりをもって収納できます。最大45WのUSB充電器と5000mAh搭載のモバイルバッテリーをこのサイズ感で持ち運べるなら文句なし!
実測重量は約205.7 gとなります。公称では「約200 g」ですので、ほぼ公称値どおりと言っていいでしょう。
Anker 521 Power Bankは本当にコンパクトで軽量なのか?ということは、その人の使い方によって変わってくるかと思います。
上は最大45WのUSB-Cポートを搭載する充電器「Anker Nano II 45W」と、最大20WのUSB-Cポートと5000mAhバッテリーを搭載する「Zendure SuperMini 5K」です。Anker 521 Power Bankは、上の充電器とモバイルバッテリーを合体させたような仕様です。
製品名 | Anker 521 Power Bank | Anker Nano II 45W | Zendure SuperMini 5K |
---|---|---|---|
バッテリー容量 | 5000 mAh | ─ | 5000 mAh |
搭載ポート | USB-C x 2 | USB-C x 1 | USB-C x 1 USB-A x 1 |
USB-C出力 | USB充電器:最大45W モバイルバッテリー:最大20W | 最大45W | 最大20W |
サイズ | 約71 x 60 x 31 mm | 約41 x 38 x 35 mm | 約109 x 27.6 x 26 mm |
重量 | 約200 g | 約68 g | 約112 g |
価格(税込) | 8,990円 | 3,990円 | 3,980円 |
製品ページ | Amazon | Amazon | Amazon |
Anker 521 Power Bankもコンパクトで軽量といっても、USB充電器として見れば大きく重く、モバイルバッテリーとしても大きく重いことには注意です。「使い方が充電器とモバイルバッテリーどちらかに偏っている」という方の場合、はっきり言って別々に用意したほうが使い勝手がいいですね。
ハマればこれ以上ないほど便利なAnker 521 Power Bankですが、使い方によってはハマらない方もいる点には注意です。
対応する急速充電規格をチェック
製品ページには対応する急速充電規格の詳細が書かれていなかったので、手元のUSB充電チェッカーで確認してみました。
USBポート | 急速充電規格 |
---|---|
USB-C1/C2 | USB PD 3.0 / PPS Quick Charge 4+(下位互換あり) Fast Charge Protocol Adaptive Fast Charging Apple 2.4A |
USB PDのほか、ファーウェイのFast Charge Protocol(FCP)やサムスンのAdaptive Fast Charging(AFC)にも対応しているようです。
USB-Cの規格上、本来であればUSB PD以外の急速充電規格への対応は規格違反となります。ただ特に使用に問題が出てくることはなく個人的にもきにしていませんが、気になる方はご注意ください。
以下はUSB PDのPDO(Power Data Object)です。
上はコンセントに挿してUSB充電にとして使用したときのPDOです。20V/2.25A(45W)に対応、さらにはUSB PD 3.0のオプション規格の「PPS」にも対応しています。
上はモバイルバッテリーとして使用したときのPDOです。最大が9V/2.22A(20W)となっていることが分かります。
USB充電器としては最大45Wとパワフル
Anker 521 Power Bankをコンセントに挿せば、最大45WのパワフルなUSB充電器として活躍してくれます。
上ではM2 MacBook Airを充電しています。
USB充電チェッカーで確認してみると、約42Wで充電できていることが分かります。充電性能をフルに発揮してくれていますね。
Anker 521 Power Bankを使えば、M2 MacBook Airに付属されている「Apple 30W USB-C電源アダプタ」よりも高速に充電できます。
iPad Pro 12.9インチは、約35Wで充電できていました。このワット数はiPad Pro 12.9インチの上限。フルスピードで充電できています。
このサイズのUSB充電器としては十分な充電性能です。15インチクラスのノートPCを充電するとなると、少なくとも60W以上、できれば100Wクラスの充電器が必要になってきますが、スマホやタブレット、13インチクラスのノートPCの充電ならAnker 521 Power Bankで十分対応できます。
2ポート同時使用時のワット数をチェック
続いてはM2 MacBook AirとiPhone 12 Pro Maxの2台を同時に充電したとき、それぞれ何ワットほどで充電できるのかをチェックしてみます。
M2 MacBook Airでは、約28Wで充電できていました。M2 MacBook Airの8コアGPU搭載モデルに付属されているApple 30W USB-C電源アダプタと同等の速度で充電できています。
一方でiPhone 12 Pro Maxは、約14Wで充電できていました。20Wを超えるフルスピード充電には及びませんが、十分な速度で充電できるワット数です。
モバイルバッテリーとして使用時は最大20W
コンセントから抜いてモバイルバッテリーとして使用したときは、最大45Wから最大20Wに出力が落ちます。
M2 MacBook Airを充電してみましたが、やはりワット数は20W付近が最大。一応充電アイコンは表示されるものの、充電速度は遅く使用しながらだとバッテリー残量はなかなか増えません。
モバイルバッテリーとして使用したときはスマホ、あるいはタブレットの充電までと考えておいたほうがいいですね。20Wあればたいていのスマホを急速充電できますし、iPadも付属のApple 20W USB-C電源アダプタと同等の速度で充電できます。
2台同時充電時は、合計最大18Wとなります。USB充電器として使用したときとモバイルバッテリーとして使用したときの充電性能の差が大きい点は気になるところです。
本体を充電しながらのパススルー充電に対応
いいなと思ったのは、USB充電器としてスマホなどを充電しながら、同時に内蔵バッテリーも充電されること。
内部のことなのでどのような仕組みなっているかは不明ですが、おそらく余力がある場合に電力を内蔵バッテリーに回してくれるのでしょう。
USB充電器とモバイルバッテリーの1台2役をこなしてくれる「Anker 511 Power Bank (PowerCore Fusion 5000)」や「Anker PowerCore Fusion 10000」では、接続されたデバイスの充電が完了した後に内蔵バッテリーの充電が開始されます。
その点、Anker 521 Power Bankでは同時に内蔵バッテリーも充電してくれるのは便利ですね!
ただ、入力は10W程度と遅く、それにUSB-Cポートで充電できる環境 = コンセントがある環境であることがほとんどですので、Anker 521 Power Bankを直接コンセントに挿してしまったほうがはやいですね。
他のコンセント付きモバイルバッテリーとの違いを比較
Anker 521 Power Bankと同じほかの2-in-1タイプの充電器と比較してみます。
製品名 | Anker 521 Power Bank | Anker 511 Power Bank | Anker PowerCore Fusion 10000 | CIO SMARTCOBY Pro PLUG | Anker 733 Power Bank |
---|---|---|---|---|---|
外観 | |||||
バッテリー容量 | 5000 mAh | 5000 mAh | 9700 mAh | 10000 mAh | 10000 mAh |
搭載ポート | USB-C x 2 | USB-C x 1 | USB-C x 1 USB-A x 1 | USB-C x 1 USB-A x 1 | USB-C x 2 USB-A x 1 |
入力 | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 1.5A | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 0.5A | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 0.7A | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 3.33A | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 1.63A USB-C1:18W |
最大出力 (USB充電器として) | USB-C1/C2:45W | USB-C:20W | USB-C:20W USB-A:12W | USB-C:30W USB-A:18W | USB-C1/C2:65W USB-A;22.5W |
最大出力 (モバイルバッテリーとして) | USB-C1/C2:20W | USB-C1/C2:30W USB-A;22.5W | |||
サイズ | 約71 x 60 x 31 mm | 約113 x 30 x 30 mm | 約82 x 82 x 35 mm | 約79 x 79 x 26 mm | 約111 x 63 x 31mm |
重量 | 約200 g | 約170 g | 約278 g | 約265 g | 約320 g |
価格(税込) | 8,990円 | 4,990円 | 5,990円 | 7,128円 | 14,990円 |
詳細レビュー | ─ | Anker 511 Power Bank | Anker PowerCore Fusion 10000 | CIO SMARTCOBY Pro PLUG | Anker 733 Power Bank |
製品ページ | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon |
△ スマホでは横スクロールできます。
Anker 521 Power Bankとよく似た仕様を持つのは、Anker 511 Power Bankですね。
バッテリー容量はどちらも5000 mAhと同じで、異なる主な点はUSB充電器として使用したときの最大ワット数、サイズ、重量です。
どちらを選ぶかのポイントなるのは、「USB充電器として最大45Wが必要か」というところ。もし必要なければあなたにはAnker 511 Power Bankが合っています。
「もっとパワーが欲しい」ということならAnker 733 Power Bankをチェックしてみてください。
USB充電器として使用時は最大65WとノートPCを十分な速度で充電できるパワーがあります。モバイルバッテリーとして使用時も最大30Wと高速です。
バッテリー容量も10000 mAhと大きくなりますが、Anker 521 Power Bankと比較するとサイズと重量はかなり大きくなります。あと価格もですね。
どの製品もユニークで魅力的です。携帯性や充電性能、バッテリー容量のバランスを考えると、Anker 521 Power Bankがあらゆる面で「ちょうどいいライン」だと感じます。
Anker 521 Power Bankレビューまとめ
今回はコンパクトかつパワフルな2-in-1充電器、「Anker 521 Power Bank (PowerCore Fusion, 45W)」をご紹介させていただきました。実際に使ってみて良かったところ、気になったところをまとめます。
良かった点
コンパクトで持ち運びしやすい
2-in-1タイプの充電器は大きく重いものが多いのですが、Anker 521 Power Bankは難なく持ち運べるサイズ感・重量に収まっています。持ち運びが前提とするなら、数ある2-in-1充電器のなかで本製品が最有力候補となります。
Anker 521 Power Bankのバッテリー容量は5000 mAhと少なめです。ですが、ちょうどスマホ1台をフル充電できるくらいの5000 mAhバッテリーがちょうどいい!個人的な感覚だと、Anker 521 Power Bankのサイズと重量は毎日持ち運びできるギリギリのライン、という感じです。
ただし、記事内で書いたように、使い方がUSB充電器あるいはモバイルバッテリーどちらかに偏っている場合は、それぞれ別々に用意した方が便利な場合があることには注意です。
USB充電器としては最大45Wとパワフル
45Wあれば、USB PD充電に対応するほぼすべてのスマホ・タブレットをフルスピードで充電できます。最大45Wの出力が可能なのはUSB充電器として使用時のみとなりますが、それでも心強い充電性能です。
スマホやタブレットだけでなく、MacBook Airといった一部のノートPCも充電できるパワーがあります。45Wで充電できるかどうかはノートPC別に確認は必要ですが、いざとなれば充電できる安心感があります。
持ち運ぶことが多いChromebookなんかも相性がよさそう。Chromebookの多くはUSB PD充電に対応します。最大45Wに対応するAnker 521 Power BankならChromebookの充電もカバーできるでしょう。
気になった点
モバイルバッテリーとして使用時は充電性能が大幅に下がる
コンセントから抜いてモバイルバッテリーとして使ったとき、USB-Cポートの出力は最大20Wに下がってしまいます。スマホ・タブレットを充電するには十分なパワーですが、ノートPCを充電するには20Wでは足りません。
USB充電器としてはノートPCを充電できるのですから、モバイルバッテリーとしてもノートPCをできればもっと活用の幅が広がるのに……と思います。
ノートPCを充電できるモバイルバッテリーをお探しの方は、以下の記事を参考にしてください。USB PDに対応するパワフルなモバイルバッテリーをご紹介しています。
コンセント付きモバイルバッテリーの弱点
Anker 521 Power Bankのようなコンセント付きモバイルバッテリーはあらゆる場面で活躍してくれる便利なアイテムです。しかし、ならではのデメリットもあります。
1点目は記事内でも書きましたが、盲点となりやすいのは2点目の「バッテリーの寿命」ですね。モバイルバッテリーに内蔵されているリチウムイオンバッテリーは、一般的に300回〜500回ほどの充電サイクルが寿命とされています。
使用頻度にもよりますが、期間にして2年〜4年ほどになるでしょうか。充電と放電を繰り返していくうちに蓄えられる電力量が減っていき、最終的に動作が不安定になったり充電できなくなったりして寿命を迎えます。
コンセント付きモバイルバッテリーを購入する場合は、「バッテリーは劣化し、いずれ寿命が来る」ということを理解しておく必要があります。
「モバイルバッテリーとしてガシガシ使いたい」という方は、モバイルバッテリー単体の購入を検討してみることをおすすめします。
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