Anker 733 Power Bank (GaNPrime PowerCore 65W)は、コンセントに挿せば最大65WのUSB充電器として、コンセントから抜けば10000mAhバッテリー搭載のモバイルバッテリーとして1台2役をこなしてくれる便利なUSB充電器 & モバイルバッテリーです。
本記事では、そんなAnker 733 Power Bankの仕様や充電性能のご紹介に加えて、実際に使ってみた感想をレビューとしてお届けします。
Anker 733 Power Bankは、Ankerの最新技術が詰まった「Anker GaNPrimeシリーズ」のラインアップされている製品のひとつ。本製品が気になっている、という方は少なくないかと思います。メリットだけでなくデメリットや注意点についても書いていますので、ぜひ参考にしてみてください!
Anker 733 Power Bankの仕様・詳細
コンセントのある環境ではUSB充電器として、コンセントから抜けばモバイルバッテリーとして活用できるAnker 733 Power Bank。まずは仕様などの詳細をご紹介します。
▼ 左右にスワイプまたはドラッグして回転させられます。
さらに安全性が向上したActiveShield 2.0に対応
Anker 733 Power Bankは、Anker GaNPrimeシリーズ各製品が対応する「ActiveShield 2.0」に対応しています。温度の監視回数が1秒間に35回にアップしており、充電器本体の温度が高くなりすぎること防止してくれます。
Anker 733 Power Bankにはリチウムイオンバッテリーが内蔵されています。熱はバッテリー劣化の原因となるところ。しっかりと温度管理してくれているのは安心です。
パッケージ内容
- Anker 733 Power Bank(GaNPrime PowerCore 65W)
- USB-C to Cケーブル(0.6 m)
- 収納ポーチ
- 取扱説明書
- 最大30か月保証(24か月保証、条件付きで+6か月)
仕様
入力(AC・USB-Cポート)
- 100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 1.63A
- 5V⎓3A / 9V⎓2A / 12V⎓1.5A(最大18W)
USB充電器として使用時の出力
- USB-Cポート:5V⎓3A / 9V⎓3A / 12V⎓1.5A / 15V⎓3A / 20V⎓3.25A(最大65W)
- USB-Aポート:5V⎓5A / 5V⎓4.5A / 5V⎓3A / 9V⎓2A / 12V⎓1.5A(最大22.5W)
- 単ポート使用時合計:最大65W
- 複数ポート使用時合計:最大65W
使用ポート数による電力振り分け(USB充電器)
使用ポート数 | USB-C1 | USB-C2 | USB-A |
---|---|---|---|
1ポート | 最大67W | ─ | ─ |
─ | 最大67W | ─ | |
─ | ─ | 最大22.5W | |
2ポート | 最大45W | 最大20W | ─ |
最大45W | ─ | 最大20W | |
─ | 合計最大15W | ||
3ポート | 合計最大65W |
モバイルバッテリーとして使用時の出力
- USB-Cポート:5V⎓3A / 9V⎓3A / 12V⎓1.5A / 15V⎓2A / 20V⎓1.5A(最大30W)
- USB-Aポート:5V⎓5A / 5V⎓4.5A / 5V⎓3A / 9V⎓2A / 12V⎓1.5A(最大22.5W)
- 単ポート使用時合計:最大30W
- 複数ポート使用時合計:最大15W
使用ポート数による電力振り分け(モバイルバッテリー)
使用ポート数 | USB-C1 | USB-C2 | USB-A |
---|---|---|---|
1ポート | 最大30W | ─ | ─ |
─ | 最大30W | ─ | |
─ | ─ | 最大22.5W | |
2ポート | 合計最大15W | ─ | |
USB-C1またはC2とUSB-Aで合計最大15W | |||
3ポート | 合計最大15W |
対応する急速充電規格(筆者調べ)
Anker 733 Power Bankは、急速充電規格「USB Power Delivery(以下USB PDと記載)」に対応しています。USB充電チェッカーを使ってUSB PD以外の急速充電規格の対応状況をチェックしました。
USBポート | 急速充電規格 |
---|---|
USB-C1/C2 | USB PD 3.1 / PPS Quick Charge 4+(下位互換あり) Adaptive Fast Charging(Samsung) Fast Charge Protocol(Huawei) Super Charge Protocol(Huawei) Pump Express 2.0 Apple 2.4A |
USB-A | Quick Charge 3.0 Adaptive Fast Charging(Samsung) Fast Charge Protocol(Huawei) Super Charge Protocol(Huawei) Pump Express 2.0 Apple 2.4A |
USB PDの規格上は、本来はUSB PD以外の急速充電への対応は規約違反となるのですが、実際にはこのように多くの急速充電規格に対応するものがほとんどです。使用する上で特に問題になることはないので個人的には気にしていませんが、気になる方はご注意ください。
あわせてUSB PDのPDOを確認してみると、PPS充電(3.3-2.1V⎓3.25A)にも対応していました。GalaxyやXperia、Google PlixeといったPPS充電に対応するデバイスをお持ちならこの恩恵を受けられます。
バッテリー容量・サイズ・重量
- バッテリー容量:10000 mAh
- サイズ:約111 × 63 × 31 mm
- 重量:約320 g
カラー・価格
- カラー:ブラック/ホワイト/ゴールド
- 価格(税込):14,990円 ※ 記事執筆時点の価格
Anker 733 Power Bankの外観
1万円を超える高機能・高性能なUSB充電器だけあって、他のUSB充電器ではなかなか見られない高級感をまとっています。
シルバーの部分は光沢のあるプラスチック素材で、「GaNPrime」と書かれたブラックの部分はマットなシリコン素材となっています。
ボタンを押すとLEDランプが白く点灯。点灯数によってバッテリー残量の目安を確認できます。
- LEDランプの点灯数によるバッテリー残量の目安
-
- 1つ点灯:〜25%
- 2つ点灯:26%〜50%
- 3つ点灯:51%〜75%
- 4つ点灯:76%〜100%
ボタンを2度押しすると、LEDランプのひとつが緑色に点灯、ワイヤレスイヤホンなど小型デバイスの充電に最適な「低電流モード」に切り替わります。
ボタン・USBポートの反対側に製品の仕様やリサイクルマーク、PSEマークなどが表示されています。
折りたたみ式プラグ採用で、持ち運び時にはコンパクトに折りたたんでおけます。
毎日持ち出すにはデカく重い
このとおり、サイズ感は大きめです。使用中にコンセントから抜け落ちることはありませんが、コンセント挿し込み口まわりの環境によっては使いづらいと感じる可能性があります。
ただ幅は31 mmとスリムな形状ですので、コンセント挿し込み口が連なる電源タップでも使用できます。
大きめのサイズ・重量で手に持ってみてもずっしり。Anker 737 Power Bankのサイズは約111 × 63 × 31 mm、重量は約320 g。「毎日持ち歩け」と言われれば厳しいサイズと重量ですね。
手持ちバッグに収納して持ち歩くにはツライですが、背負えるバックパックでの持ち運びなら気にならないレベルかと思います。たまに持ち出すノートPCのお供としてPCバッグにに入れておくには苦にならないでしょう。
いずれにせよ、そこそこのサイズと重量があることは知っておいたほうがいいですね。
最大65Wであらゆるデバイスを急速充電
Anker 733 Power Bankをコンセントに挿せば、最大65WのUSB充電器としてあらゆるデバイスを急速充電できます。
上ではM2 MacBook Airを充電しています。約62Wと高速に充電できていますね。このワット数はM2 MacBook Airのほぼ最大値。フルスピードで充電できている状態です。
MacBookなら、MacBook Air・MacBook Pro 13インチ/14インチの充電はAnker 733 Power Bankで対応できます。WindowsノートPCやChromebookでも、USB PD充電に対応するデバイスであればほぼカバーできる充電性能です。
2つのUSB-Cポートを同時に使用したときは、それぞれ最大45W + 最大20Wに振り分けられます。M2 MacBook AirとiPhone 12 Pro Maxを同時充電してみると、それぞれ約43W + 約16Wできていました。M2 MacBook AirとiPhone 12 Pro Maxとも十分な速度で充電できています。
10000mAh・最大30Wのモバイルバッテリー
続いてはコンセントから抜いてモバイルバッテリーとして使用したときのワット数をチェックしてみます。
M2 MacBook Airを充電してみると、約28Wで充電されていました。MacBook Air(M1/M2)付属のApple 30W USB-C電源アダプタと同等の速度で充電できているものの、USB充電器として使用したときよりも大幅に充電性能が低下します。
iPad Pro 12.9インチでは約27Wで充電されていました。充電性能が低下すると言っても、スマホやタブレットを充電するには十分過ぎる充電性能です。最大30Wあれば、ほとんどのスマホ・タブレットをフルスピードで充電できるはずです。
ただ注意したいのは、モバイルバッテリーとして使用時に複数ポートを同時に使用すると、合計最大15Wとなってしまうこと。上ではiPhone 12 Pro MaxとAirPodsを同時に充電していますが、iPhoneでは約10Wの充電となっていました。約20W前後の急速充電に慣れているかだと充電速度の遅さにイライラしてしまう可能性があります。
USB充電器としても、モバイルバッテリーとしても大きく重い
Anker 733 Power Bankは、USB充電器兼モバイルバッテリーとして活躍してくれる便利な2-in-1製品です。
しかしAnker 733 Power Bankを実際に使ってみて、使用用途がUSB充電器あるいはモバイルバッテリーどちらかに偏っている方は選ぶべきでないと感じました。理由はその大きいサイズと重量からです。
別記事でレビューした「CIO NovaPort Trio 65W」と並べてみました。USB充電器としての性能はほぼ同じです。
- CIO NovaPort Trio 65Wの基本仕様
-
- 搭載ポート:USB-C x 2、USB-A x 1
- 合計出力:最大67W
- サイズ:約59 x 43 x 28 mm
- 重量:約92 g
上は同じくCIOのモバイルバッテリー、CIO SMARTCOBY Pro 30Wです。こちらもモバイルバッテリーとしての性能はAnker 733 Power Bankとほぼ同じです。
- CIO SMARTCOBY Pro 30Wの基本仕様
-
- バッテリー容量:10000 mAh
- 搭載ポート:USB-C x 1、USB-A x 2
- サイズ:約77 x 56 x 26 mm
- 重量:約183 g
このように、Anker 733 Power Bankは最大65WのUSB充電器としてみると大きく重く、10000mAh・最大30Wクラスのモバイルバッテリーとしてみても大きく重いんです。
Anker 733 Power Bankの重量は約320 gなのに対し、CIOの2製品の合計重量は約273 gという計算。コンパクトさ・軽量さを求めたい方にはAnker 733 Power Bankをおすすめできません。それぞれ別々に用意することをおすすめします。
発熱の心配は無用
2-in-1モバイルバッテリーと聞いて気になるのは充電時の発熱。発熱はバッテリーの劣化の原因になります。
発熱を調べるために、Anker 733 Power Bankをコンセントに接続しMacBook Pro 16インチを充電。充電開始から1時間後の表面温度をチェックしました。結果は以下のとおりです。
1時間にわたり65Wで充電しAnker 733 Power Bankにとって相当な負荷がかかっている状態です。それでこの発熱で済んでいるわけですから、非常に優秀と言えるでしょう。発熱に関しての心配は不要です!
他の2-in-1モバイルバッテリーとの違いを比較
Anker 733 Power Bankを含む、人気の2-in-1モバイルバッテリーの違いをまとめました。
製品名 | Anker 733 Power Bank | CIO SMARTCOBY Pro PLUG | Anker PowerCore Fusion 10000 | Anker 521 Power Bank | Anker 511 Power Bank |
---|---|---|---|---|---|
外観 | |||||
バッテリー容量 | 10000 mAh | 10000 mAh | 9700 mAh | 5000 mAh | 5000 mAh |
搭載ポート | USB-C x 2 USB-A x 1 | USB-C x 1 USB-A x 1 | USB-C x 1 USB-A x 1 | USB-C x 2 | USB-C x 1 |
入力 | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 1.63A USB-C1:18W | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 3.33A | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 0.7A | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 1.5A | AC:100V – 240V ~ 50 / 60Hz / 0.5A |
最大出力 (USB充電器として) | USB-C1/C2:65W USB-A;22.5W | USB-C:30W USB-A:18W | USB-C:20W USB-A:12W | USB-C1/C2:45W | USB-C:20W |
最大出力 (モバイルバッテリーとして) | USB-C1/C2:30W USB-A;22.5W | USB-C1/C2:20W | |||
サイズ | 約111 x 63 x 31mm | 約79 x 79 x 26 mm | 約82 x 82 x 35 mm | 約71 x 60 x 31 mm | 約113 x 30 x 30 mm |
重量 | 約320 g | 約265 g | 約278 g | 約200 g | 約170 g |
価格(税込) | 14,990円 | 7,128円 | 5,990円 | 8,990円 | 4,990円 |
製品ページ | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon |
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USB充電器として使用したときの「最大65W」というパワーは、Anker 733 Power Bankが頭ひとつ抜けていますね。ノートPCを充電するならAnker 733 Power Bankがいい選択です。
ただ充電性能と同じくらい大事な価格に大きな違いがあります。USB充電器とモバイルバッテリーを別々に購入するかどうかも含めて検討してみてください。
ノートPCの充電メインではなく、スマホやタブレットの充電がメインならAnker 733 Power Bankはオーバースペック。イチオシはCIO SMARTCOBY Pro PLUGです。
レビューまとめ:万人受けはしないがハマる人はいる
本記事では、1台でUSB充電器とモバイルバッテリーの2役をこなしてくれるAnker 733 Power Bankをご紹介させていただきました。メリットとデメリットをまとめると以下のようになります。
- 1台でUSB充電器とモバイルバッテリーの2役をこなしてくれる。
- 最大65WのUSB-Cポート搭載でノートPCを含むあらゆるデバイスを急速充電できる。
- コンセントから抜いても10000mAh・最大30Wのモバイルバッテリーとして使える。
- 温度検知の頻度がアップし安全性が増した「ActiveShield 2.0」に対応。
- 高出力の充電が続いても発熱が抑えられている。
- そこそこのサイズ・重量があり、手持ちのバッグには入れづらい。
- 使用用途がUSB充電器・モバイルバッテリーどちらかに偏っている方にはおすすめしにくいサイズと重量。
- モバイルバッテリーとして使用時は充電性能が下がる。
- 価格が高く「できるだけ安く済ませたい」という方には向かない。
同じような2-in-1モバイルバッテリーは他にもあります。Anker 733 Power Bankのサイズと重量は気になるものの、充電器としての完成度はさすが。外観・デザインは高級感がありますし、ActiveShield 2.0や過充電防止などの安全機能をしっかり搭載。どうしても目がいきがちな充電性能以外の部分もしっかり作り込まれています。
ただ、万人受けする製品かどうか、と言われれば微妙です。使用用途がUSB充電器かモバイルバッテリー、どちらかに偏っている方は少なくないでしょう。その場合は別々に用意したほうが使い勝手はいいですね。
Anker 733 Power Bankをおすすめしたいのは、ズバリMacBook AirといったモバイルノートPCを持ち運ぶ方で、USB充電器とモバイルバッテリーの使用割合が半々くらいの方です。ハマる方にはドンピシャにハマります。
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