ソニーの新型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン「WH-1000XM5」と前モデル「WH-1000XM4」の違いを比較、「違いはどこにある?」「買い換える価値はある?」というところをご紹介します。
- 前モデル「WH-1000XM4」との違いは?
- WH-1000XM4ユーザーがWH-1000XM5に買い換える価値はある?
- いまあえてWH-1000XM4を買うのはあり?
新しくワイヤレスヘッドホンの購入を検討されている方、さらにWH-1000XM4ユーザーの方にも参考にしていただける内容かと思いますので、WH-1000XM5が気になっているという方はぜひチェックしてみてください!
WH-1000XM5とWH-1000XM4の違いを比較
新型モデルWH-1000XM5と前モデルWH-1000XM4はなにが違うのでしょうか。仕様の違いをまとめました。
WH-1000XM5とWH-1000XM4の違いは?
型番 | WH-1000XM5 | WH-1000XM4 |
発売日 | 2022年5月27日 | 2020年9月4日 |
プロセッサー | 高音質NCプロセッサ「QN1」統合プロセッサー「V1」 | 高音質NCプロセッサ「QN1」 |
ドライバーユニット | 30 mm | 40 mm |
マイク | 8個 | 4個 |
DSEE Extreme | 〇 | 〇 |
360 Realtiy Audio | 〇 | 〇 |
外音取り込みモード | 〇 | 〇 |
NCオプティマイザー | 〇(オートNCオプティマイザー) | 〇 |
クイックアテンションモード | 〇 | 〇 |
アダプティブサウンドコントロール | 〇 | 〇 |
スピーク・トゥ・チャット | 〇 | 〇 |
通信方式 | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.0 |
Bluetoothプロファイル | A2DP, AVRCP, HFP, HSP | A2DP, AVRCP, HFP, HSP |
対応コーデック | SBC,AAC, LDAC | SBC,AAC, LDAC |
マルチポイント | 〇 | 〇 |
マルチペアリング | 〇 | 〇 |
装着検出機能 | 〇 | 〇 |
入力端子 | ステレオミニジャック | ステレオミニジャック |
駆動時間(連続再生) | 最大30時間(NCオン時)最大40時間(NCオフ時) | 最大30時間(NCオン時)最大38時間(NCオフ時) |
駆動時間(連続通話) | 最大24時間(NCオン時)最大32時間(NCオフ時) | 最大24時間(NCオン時)最大30時間(NCオフ時) |
充電時間 | 約3.5時間3分の充電で3時間再生(PD充電時) | 約3時間10分の充電で5時間再生(1.5AのACアダプタ使用時) |
充電方法 | USB Type-C | USB Type-C |
重量 | 約250 g | 約254 g |
価格(ソニーストア) | 49,500円 | 41,800円 |
※「NC」=「ノイズキャンセリング」のことです。
外観・デザイン以外の主な進化ポイントをまとめると、
- QN1プロセッサーに加えV1プロセッサー追加、さらにマイクが4個 → 8個とNC(ノイズキャンセリング)性能がアップ
- NCオプティマイザーがオートになった
- 通話用マイクが2個 → 4個に増え通話品質がアップ
この3点になります。
外観・デザインの違いを比較
▲ まず目につくのは、付属ケース・収納の仕方の違いです。ファブリックの質感は変わりませんが、収納の仕方が変わったことで収納ケースが平べったい形状に変更されています。
▲ 収納ケースは大きくなってしまったものの、収納時に折りたたむ必要のないWH-1000XM5のほうがラクですね。ただ持ち運び時は少し不便になったかも。
▲ 付属の充電用USB Type-C to Aケーブル、オーディオケーブルはケース内のパカッと開けたところに収納されています。
▲ ヘッドホン表面はマットな質感。一方でWH-1000XM4はシルキーな質感です。WH-1000XM4はブラック色ということもあり指紋汚れが気になっていましたが、WH-1000XM5では目立たなくなりました。WH-1000XM5でも気になる方は、ブラックではなくプラチナシルバーを選んだほうがいいでしょう。
WH-1000XM5のプラチナシルバーは、シルバーというより「オフホワイト」のようなカラーです。
▲ 操作ボタン・入力端子(USB Type-C・ステレオミニジャック)の位置に大きな変更はありません。
▲ ヘッドバンド部分の伸縮機構が変更されています。
▲ ハウジング部分を回転させるための機構も変更されています。
▲ 傾きの調節機能も変更されていますね。WH-1000XM5ではフィッティングのための各調整機構が内蔵化され、全体的にすっきりしたデザインとなっています。
▲ 両者とも右側のハウジング部分には、音楽コントロールを行えるタッチセンサーが組み込まれています。また、WH-10000XM4にあったNFCのロゴがなくなり、SONYのロゴも控えめになりました。
▲ 画像では分かりづらいですが、イヤーパッドの厚みがわずかに違います。WH-1000XM5のほうが薄くなっています。WH-1000XM5では通常の合皮よりも柔らかいソフトフィットレザーが新採用されています。
▲ ヘッドバンドクッションの硬さも、触った限りでは同じですね。
▲ ヘッドホンを装着する・外すに連動して自動的に再生・一時停止手くれる「装着検出機能」。WH-1000XM4では、装着検出機能のためのセンサーが内蔵されています。WH-1000XM5でも同様に対応しているのですが、センサーが見えないような仕様に変更されています。
全体的にスッキリし、より洗練されたデザインになりました!
装着感の違いを比較
続いては「装着感の違い」を比較していきます。装着感の感じ方についてはどうしても個人差が発生するところ。いちユーザーの感想として参考にしていただければと思います。どれほど快適に装着していられるかは、ヘッドホンの締め付けが苦手な私にとっては超重要なポイントです。
装着感を比較してみると、「ほぼ同じ」と言っていいほどの違いですが、どちらかというとWH-1000XM5のほうが締め付けられる感覚が少ないと感じます。新たに採用されたソフトフィットレザーが効いているのでしょうか。側圧が一部に偏らずに均等にかかってくれているように感じます。 装着感に関してはどちらも快適ですね!
どちらも側圧を感じにくく快適!ただ個人差があるので、装着感を重視したい方は試着してみることをおすすめします!
ノイズキャンセリング性能の違いを比較
続いては、目玉機能である「ノイズキャンセリング性能」の比較です。
▲ WH-1000XM4でも相当に優秀なノイズキャンセリング性能ですが、WH-1000XM5ではさらに進化しています。特に中高音域においてさらにノイズをカットできるようになっています。
多くの人が行き交うショッピングモールでWH-1000XM5を装着してみると、人の話し声を見事に消し去ってくれています。音楽を再生していない状態ではわずかに騒音が耳に入ってくるものの、WH-1000XM5のほうがマイルドというか、角が取れたような音。不快感はないですし、聞こえ方も凄く自然です。
▲ 車通りが多く大きい騒音がある高架下でも比較してみましたが、WH-1000XM5とWH-1000XM4の違いは感じられませんでした。どちらも超優秀です。
マイクが4個から8個に増えたこと、そして統合プロセッサー「V1」が新たに追加されたことで、ノイズキャンセリング性能は確かに進化しています。ただ、どちらも優秀なだけあって、感じられる差はわずかなものという印象です。
ソニーがうたうように、特に中高音域の騒音に対しノイズキャンセリング性能がアップ!ただどちらも優秀で大きな差は感じられません。
音質の違いを比較
▲ Xperia 1 IIIと高品質コーデック「LDAC」で接続、Amazon Musicで音質を比較してみました。イコライザー設定はデフォルトのままです。
「ミックスナッツ – Official髭男dism」を聴いてみると、イントロのピアノ・ギターの音はWH-1000XM5んほうが解像度が高く感じられます。それぞれの音がしっかり分離しており、ボーカル音も息づかいを感じられるほどよく聞こえます。重低音もしっかり出ていますが、WH-1000XM4よりもマイルドな印象です。
一方でWh-1000XM4では、WH-1000XM5と比べるとそれぞれの音が干渉している印象。それぞれの楽器の存在感が少し弱くなっている感じでしょうか。
私はWH-1000XM5の音のほうが好きですね。音が丸く聴きやすい印象を持ちました。ワイヤレスヘッドホンとしてはどちらも十分いい音質ですが、「好みによって評価が分かれそう」というのが正直なところ。
なおWH-1000XM4では40mmのドライバーが搭載されていますが、WH-1000XM5では30mmにサイズダウンしています。それを補うために内部構造が全体的に見直されているとのことですが、少なくともドライバーサイズの違いは感じられないですね。
音質は好き嫌いが分かれそう。個人的には楽器やボーカルの音がしっかり分離して聞こえるWH-1000XM5が好み!
マイク性能の違いを比較
続いては「マイク性能」を比較してみます。
音声通話時に使われるマイク数は、WH-1000XM4の2個からWH-1000XM5の4個に増えています。どれほどの差があるのかが気になるところですが、実際に聞いていただいたほうが早いかと思いますので、それぞれで音声を録音してみました。
※ 再生ボタンをタップすると音声が流れますのでご注意ください。
● WH-1000XM4のマイクで録音
● WH-1000XM5のマイクで録音
どちらもエアコンと空気清浄機が動作している室内で録音しました。私の感想としては、
- WH-1000XM4ではエコーのかかった音に聞こえるかが、WH-1000XM5ではより自然に音声が聞こえる。
- 電話通話やテレビ会議に使用するレベルであれば、どちらも問題のない音質。
WH-1000XM4では室内の反響を拾ってしまっているのか、エコーがかった声に聞こえますが、WH-1000XM5ではより声にフォーカスされておりクリアに聞こえます。この差が4個に増えたマイク、AIによるノイズリダクションによる差なのでしょう。
WH-1000XM5のほうがよりクリアな通話品質!ただ一般的な電話通話やテレビ会議に求められる通話品質はどちらもクリアしています!
使い勝手の違いを比較
最後に「使い勝手」の違いを比較していきます。
NCオプティマイザーが自動化
着用者の個人差を分析し、ノイズキャンセリング特性を最適化してくれる「NCオプティマイザー」。WH-1000XM4では、その都度「Headphones」アプリで最適化する必要がありました。
WH-1000XM5では、このNCオプティマイザーが自動で行われるようになり、わざわざアプリを操作する必要がなくなりました。
NCオプティマイザーで最適化しておくのとしないのとでは、明らかに分かるレベルでノイズキャンセリングの効き具合に差が出ます。WH-1000XM4では面倒でしたが、WH-1000XM5になり自動化されたのは楽チンです。
3分間のPD充電で約3時間の連続再生
WH-1000XM5はUSB Power Devlier(USB PD)による急速充電に対応し、たった3分間の充電で約3時間の連続再生が可能になりました。ちなみにWH-1000XM4は、10分間の充電で約5時間の再生が可能です(1.5AのACアダプタ使用時)。
▲ 別途USB PD充電器とUSB Type-C to Cケーブルが必要ですので、持っていなければスマホの急速充電も可能なのでひとつ用意しておくと便利です。上ではUSB PD充電器に「Anker 711 Charger」と「Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル」を使ってWH-1000XM5をPD充電しています。
もともとバッテリー駆動時間は長いですし、万が一バッテリー切れを起こしても、数分間の映画を1本以上観られます。
● WH-1000XM5のバッテリー駆動時間
- 最大30時間(NCオン時)
- 最大40時間(NCオフ時)
● WH-1000XM5のバッテリー駆動時間
- 最大30時間(NCオン時)
- 最大38時間(NCオフ時)
NCオフ時のバッテリー駆動時間がわずかに延びていますが、ほぼ同じですね。バッテリー駆動時間や充電に関して困ることは両者ともないはずです。
耳を守る「セーフリスニング機能」
WH-1000XM5にあってWH-1000XM4にない機能として、「セーフリスニング機能」があります。セーフリスニング機能とは、「Headphones」アプリが使用者のリスニング傾向をモニタリングしてくれ、WHO推奨の限度に近づいたときや超えたときに通知してくれる機能のことです。
耳へのダメージは蓄積されていくもの。長く音楽を楽しむためにも、セーフリスニング機能を活用しましょう。
その他の使い勝手の違いは?
その他の使い勝手についてですが、WH-1000XM5とWH-1000XM4どちらも変わらないという印象です。便利なマルチポイント(2台のデバイスに同時接続でき、音声接続がシームレスに切り替わる)は両者とも対応していますし、タッチセンサーによる音楽コントロールの使用感も同じ。
使い勝手に関する大きな違いは、上で挙げた「オートNCオプティマイザーの有無」のみですね。これ以外はほぼ同じと考えて支障ありません。
まとめ:WH-1000XM5を買う、もしくは買い換える価値はある?
まとめとして、以下の2パターンでWH-1000XM5を買うべきかどうかを考えてみます。
- WH-1000XM4ユーザーの方
- 初めてワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンを購入する方の場合
WH-1000XM4ユーザーの方の場合
正直なところ、ほとんどのWH-1000XM4ユーザーの方は、わざわざWH-1000XM5に買い換える必要はないと思っています。
- WH-1000XM4の音質・ノイズキャンセリング性能は、十分に高いレベルにある。
- オートNCオプティマイザー以外は、使い勝手に大きな差はない
- 買い換えコストが高い。
WH-1000XM5の価格は税込49,500円(Amazon / 記事執筆時点)。WH-1000XM5になり確かに進化はしていますが、すでにWH-1000XM4をお使いの方が高いお金を払ってわざわざ買い換える価値があるとは思えません。
初めてWH-1000XM4の音質・ノイズキャンセリング性能を体験したときは感動レベルの驚きがありましたが、それに慣れてしまった人であれば、WH-1000XM5に買い換えて「確かによくはなってるけど、こんなものか」と思ってしまう可能性大です。
悪い意味ではなく、それほどWH-1000XM4の完成度が高いということです。WH-1000XM5への買い換えを検討されている方は、もう一世代待ってみてもいいでしょう。
初めてワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンを購入する方の場合
「ワイヤレスノイズキャンセリングを初めて購入する」という方の場合は、WH-1000XM4ではなくWH-1000XM5を選ぶことをおすすめします。
Amazonを覗いてみると、WH-1000XM4の価格は記事執筆時点で約35,000円ほど。WH-1000XM5との価格差は約1万円です。悩みどころですが、いまどうせ買うならWH-1000XM5をおすすめしたいですね!WH-1000XM5は発売されたばかり。少なくとも2年以上は最新モデルとして使用できます。
WH-1000XM4からWH-1000XM5への買い換えはコストが高いように思えますが、はじめて購入する方の場合は「あと1万円出して最新モデルに」という思いが出てきます。上でも書いたようにWH-1000XM4は完成度の高いヘッドホンです。記事内でご紹介した違いに1万円分の恩恵を感じられるかどうか、というところがポイントになりますね。