ここ最近、ますます注目されることが多い「スマートウォッチ」。「1日2日しかバッテリーがもたない時計なんて…」とスマートウォッチに対して否定的に考える人はまだまだ多いのでは思います。しかし一度使ってみれば「スマートウォッチがない生活なんて考えられない」と考えが変わること間違いありません。まさに僕自身がそうであったように。
今回は「スマートウォッチデビューを果たしたい」「スマートウォッチの買い替え検討している」という人にぜひおすすめしたい、Wear OS by Google(旧Android Wear)を搭載した「TicWatch Pro」をご紹介します。TicWatch Proを実際に2週間ほど使用してみて、人気の理由がよく分かりました。
Wear OSスマートウォッチ「TicWatch Pro」
「TicWatch Pro」は中国Mobvoi(モブボイ)社が販売する、Wear OS搭載のスマートウォッチです。人気のスマートウォッチですので聞いたことがあるという人は多いはず。
「TicWatch Pro」のスペック
Mobvoi「TicWatch Pro」 | |
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ディスプレイ | AMOLDE(有機EL)ディスプレイ、FSTN LCD(省エネ)ディスプレイの二層式 |
CPU | Snapdragon Wear 2100 |
メモリ(RAM) | 512MB |
ストレージ | 4GB |
Bluetooth | Bluetooth 4.2 |
Wi-Fi | 2.4GHz 802.11 b/g/n |
センサー | GPS/心拍数センサー/加速度センサー/ジャイロ/電子コンパス/環境光センサー |
防水 | IP68(1.5mの水深で最大30分間の浸水に耐える) |
バッテリー | 415mAh |
カラー | シルバー/ブラック |
特徴としては2~30日間もの稼働時間(スマートモード時は約2日、省電力モード時で最大30日)。そのカラクリとしては、有機ELディスプレイとFSTN LCDディスプレイという省電力ディスプレイの二層式で稼働時間を伸ばしています。バッテリー切れのリスクはスマートウォッチのネックになるところ。アウトドア時など電源がない環境で意図的に駆動時間を伸ばすことができるのは、TicWatch Proの強みでしょう。
GPSや心拍センサーといったセンサー類、IPX68という普段使いにおいて何不自由ない防水性能など、一般的にスマートウォッチに求められている機能はしっかり搭載されています。ひととおり網羅されているので、そういう意味では誰にでもおすすめしやすいスマートウォッチです。
「Tic Watch Pro」レビュー。使ってみて感じたこと
まず前提として、僕はスマートウォッチは「Apple Watch」をメインに使っていて、Wear OSスマートウォッチは初めて手にします。iPhoneとGalaxy S9の2台持ちで、Wear OSスマートウォッチということで今回はGalaxy S9に接続して2週間ほど使用してみました。
普段からApple Watchを便利で使っているのですが、Wear OSは可能性を秘める末恐ろしいスマートウォッチ向けOSだと感じました。そしてこの「TicWatch Pro」もなかなかいい。Wear OSスマートウォッチ、なかなかあなどれませんね!
外観・デザイン→シンプルだからどんな文字盤・バンドにも合いそう
▲デザインは非常にシンプル。シンプルでありながらも、ステンレススチールがアクセントとなっていて高級感があります。クセのないクラシックなデザインなので、どのような文字盤(フェイス)・バンドに合いそうです。
▲サイドには物理ボタンが2つ。電源のオン/オフやGoogle音声アシスタントを起動できる電源ボタン(右上)、もうひとつのボタンには任意のアプリを起動する機能を割り当てることができます(右下)。
▲裏面には充電するための端子と中央部分には心拍センサーがあります。裏面までステンレススチールが使われており、安っぽさを感じさせません。安っぽさってこういう見えないところに大きく出るので、これはなかなか好印象。
▲充電は付属の専用充電器で行います。マグネット式で近づけるとパチっとくっつくようになっています。バッテリー切れの状態から約1時間程度でフル充電できるので、お風呂に入ってあれこれしているうちに充電完了。ログを取りたいがためにお風呂以外はずっとスマートウォッチを付けておきたいという人でも問題ないでしょう。
▲購入時に付属されているバンドは表面が合成レザー、裏面がゴム素材が採用されています。バンドは22mm幅のピンボタンによる脱着式で、サードパーティ製のバンドに交換もできます。
▲付属のバンドがシンプル過ぎたので、自分好みのバンドに交換してみました。なかなかいい感じじゃないでしょうか!22mm幅の交換バンドに対応し選べるものも多いので、これはバンド交換が楽しみのひとつになりそうです。
ちなみに上の画像のバンドはこちらで買いました。値段の割にしっかり作られていて、全体的な高級感も向上。
▲いいですね!ビジネスシーンでも、カジュアルにも使えるデザイン。四角いApple Watchを使っていると、このような丸型のスマートウォッチがなおかっこよく感じます。
バッテリー持ちは普通。省電力モードは○
TicWatch Proは2日から最大30日というバッテリー持ちを謳い文句にしていますが、実際は通常のノーマルの状態では1日半〜3日くらい。アプリをガンガンダウンロードしたり、いじくり回して1日半くらいで、通知を受けながら普通の使い方で最大3日間、という感覚。ランニングアプリでGPSを使うともっと短くなるかと思います。
バッテリー持ちについては「悪くない、けどこんなもんかな」という感想。Apple Watchも普段使いでは2日ほどはもつので、特にインパクトはありませんでした。TickWatchのセールスポイントである最大30日のバッテリー持ちとは「省エネモード」のことで、このモードにすると二層ディスプレイのうちの「FSTN LCDディスプレイ」のみがオンになり「ただのデジタル時計」化します。
ただの時計化すると書くと聞こえは悪いですが、緊急時などにオンにすることで「バッテリー切れで時間すら確認できない」という状態を防ぐことができます。Apple Watchにも省電力モードはありますが、さすがに30日はもちません。いざというときに最大限に省電力にできる。これはなかなか心強いですね!
通知はばっちり!接続安定性も問題なし
当たり前ですがスマホに届く通知はばっちりTicWatch Proに届きます。意図せずスマホと接続が切れてしまうこともいまのところありません。LINEのメッセージなんかもスマートウォッチ上で確認、返信できるので便利ですね!
ただ一点気になるのは着信時の通知に3秒から5秒程度のタイムラグがあること。着信があってスマホがブルブル震えだしてからTicWatch Proに通知されるまで多少のタイムラグがあります。致命的ではないですが少し気になるところ。これはどのWear OSスマートウォッチでも同じなんでしょうか?どうなんだろう。。。
動作はサクサク!でも場面によってはもっさり
「Snapdragon Wear 2100」はクアルコム社が2016年に発表したSoC(CPU)です。スマートウォッチ向けのSocは開発スピードが鈍いということもあって、2018年暮れに発売されたTicWatch Proにもこれが搭載されています。新たに「Snapdragon Wear 3100」が登場していますが、まだこれを搭載するスマートウォッチは限られている様子。
で、TicWatchの動作のどうなの?というところですが、第一印象としては「サクサク動く」というものでした。ただGoogle Playストアからアプリをダウンロードしたときに極端に動きが遅くなったり、Google音声アシスタントの起動がワンテンポ遅れることがあります。といっても普段使いにおいては許容範囲内で、おそらく他の格安スマートウォッチと比べるとかなり速いほうなのかと思います。
Apple Watchと比較したときに、動きの速さ・操作の快適さはApple Watchに軍配が上がります。ただ伸びしろはWear OSスマートウォッチのほうがあるので、これから期待したいところです。
豊富な対応アプリ・文字盤はWear OSの強み
普段Apple Watchを使っているからこそ強く感じるのが、豊富な対応アプリと文字盤です。GoogleのWear OSだけあって、Google関連の対応アプリは充実していますし、対応アプリの数もApple Watchと比較すると非常に多い。特にGoogleマップやGmail、Googleカレンダーをよく使っている僕からするとありがたい。
標準で使える文字盤の種類は多く、それだけで十分楽しめます。
現時点ではNFC決済が使えない
これがなかなか痛いポイントですね。。。TicWatch Pro搭載のNFCが日本で普及しているType-Fに対応していません。将来のアップデートで使えるようになるかもという話もありますが、いつになるか分からないですし、あまり期待しないほうが良さそうです。
実際にGoogle Payに登録している「Suica」「QUICPay」をTicWatch Proに登録しようとしましたがやっぱりダメでした。
日本ではNFC決済の規格がごちゃごちゃになってしまっているので、これは仕方がないことかもしれません。その点Apple WatchのApple Payは優秀で、Suicaも使えますしほとんどのクレジットカードがApple Payに対応し、Apple WatchでNFC決済を行うことができます。手首をかざすだけで決済できるスマートウォッチでのNFC決済は非常にらくちん。これができるようになれば、Wear OSスマートウォッチを手にとる人はもっと多くなるのだろうと思うと残念です。
求められることにしっかり応えてくれるスマートウォッチ
初めてWear OSスマートウォッチを手に取り使ってみましたが、はっきり言ってかなり高評価です。Wear OSには発展途上なところがあるような気もしますが、これからもっと進化していくことを考えると末恐ろしいOSだと感じます。
TicWatch ProはそのWear OSを使いこなすための「器」としては非常に高いレベル。二層構造のディスプレイで、最大30日もバッテリーがもつスマートウォッチなんて他を探してもありません。TicWatch Proはそういった個性がありつつ、スマートウォッチとして求められるものにしっかり応えてくれる素晴らしいスマートウォッチだと感じました。
最後に僕自身がスマートウォッチに求める機能と、それに対してのTicWatch Proの評価をまとめてみました。比較的安く、それでいて高機能なTicWatch Pro。これが売れている理由がよく分かりました。
求める機能 | TicWatch Pro | 備考 |
---|---|---|
確実に通知を確認でき、その内容を確認できること | ○ | 着信時に通知にタイムラグがあるのは気になるけど |
スマートウォッチから電話をかける・受ける・通話ができる | ○ | スマホとペアリングされている状態のみ |
ストレスなく操作できること(動きが重すぎるのはNG) | △ | 場面によってはもっさり |
少なくとも1〜2日もってくれるバッテリー | ◎ | 積極的に使っても1日半はもつ(普段使いなら2〜3日) |
Bluetoothイヤホン・ヘッドホンに接続して音楽を聴ける | ○ | ウォッチ単体で聴くならGoogle Playミュージック |
GPS(マップアプリを使いたい)や心拍計など各センサーの搭載 | ○ | 普通に使える、特に精度の悪さは感じなかった |
音声アシスタントが使えること | △ | Google音声アシスタントの起動がワンテンポ遅れる |
防水に対応すること(雨や汗など) | ◎ | IP68防水、日常では十分な防水機能 |
かんたんにスタイルを変えられる(普段使い・スポーツ・トレーニングなど) | ○ | シーンに応じてバンド交換できる、デザインはスポーツ向けじゃないけど |
NFC決済(Suica/QUICPayなど) | ✕ | NFCは搭載されいてるのもの日本では使えない |
文字盤を選べること | ◎ | Google Playストアから豊富に揃えられた文字盤をダウンロードできる(有料あり) |
1万円台の格安スマートウォッチと比べると、TicWatch Proは高く感じるかもしれませんが、ここまでしっかり使え機能も高いスマートウォッチはなかなかないのではないでしょうか。コストパフォーマンスの良さもTicWatch Proのポイントです。