Appleの完全ワイヤレスイヤホン「AirPods(第2世代)」と「AirPods Pro」を愛用してしばらく経ちました。今さら感はありますが、どちらも使い込んだこのタイミングで、「長期レビュー」ということでお届けします。
iPhoneやiPad、Macとの親和性の高さ、かんたんなセットアップ、優秀なマイク、長い駆動時間、コンパクトなサイズ感と、AirPodsにはたくさんの魅力があります。これらはAirPodsとAirPods Pro共通して言えること。
僕はAirPodsだけでなく、SONYの「WF-1000XM3」やBOSEの「SoundSport Free wireless headphones」などの完全ワイヤレスイヤホンを多く使ってきましたが、iPhone、iPad、Macユーザーである僕からすると、AirPodsほど便利な完全ワイヤレスイヤホンはないと思っています。
この記事は、これからAirPodsの購入を検討している方、あるいはAirPods、AirPods Proをすでに持っていて、異なるほうの購入を検討している方の参考になるはず。ぜひ最後までご覧いただければと思います。
AirPods(第2世代)とAirPodsの違い・機能比較
おさらいも兼ねて、「AirPods」と「AirPods Pro」の違いをまとめておきます。
AirPods(第2世代) | AirPods Pro | |
発売日 | 2019年3月26日 | 2019年10月30日 |
チップ | H1ヘッドフォンチップ | H1ベースのSiP(System in Package) |
イヤホンタイプ | インイヤー型 | カナル型 |
センサー | デュアルビームフォーミングマイクロフォン デュアル光学センサー 動きを感知する加速度センサー 音声を感知する加速度センサー | デュアルビームフォーミングマイクロフォン 内向きのマイクロフォン デュアル光学センサー 動きを感知する加速度センサー 音声を感知する加速度センサー 感圧センサー |
ノイズキャンセリング | ─ | アクティブノイズキャンセリング 外部音取り込みモード |
防水性能 | ─ | 耐汗耐水性能(IPX4) |
通信 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
本体バッテリー | 1回の充電で最大5時間の再生時間 1回の充電で最大3時間の連続通話時間 | 1回の充電で最大4.5時間の再生時間(アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードをオフにした場合は最大5時間) 1回の充電で最大3.5時間の連続通話時間 |
充電ケースバッテリー | 24時間以上の再生時間 最大18時間の連続通話時間 充電ケースでの15分間の充電で最大3時間の再生時間、または最大2時間の連続通話時間 | 24時間以上の再生時間 18時間以上の連続通話時間 充電ケースでの5分間の充電で約1時間の再生時間、または約1時間の連続通話時間 |
本体サイズ | 高さ:40.5 mm 幅:16.5 mm 厚さ:18.0 mm 重量:4 g | 高さ:30.9 mm 幅:21.8 mm 厚さ:24.0 mm 重量:5.4 g |
充電ケースサイズ | 高さ:53.5 mm 幅:44.3 mm 厚さ:21.3 mm 重量:40 g | 高さ:45.2 mm 幅:60.6 mm 厚さ:21.7 mm 重量:45.6 g |
価格(税別) | with Charging Case:17,800円 with Wireless Charging Case:22,800円 | 27,800円 |
大きな違いは2点。上の表でいえば「イヤホンタイプ」と「ノイズキャンセリング」ですね。
AirPodsはいわゆる「インイヤー型」のイヤホンで、耳にひっかけるようにして装着するタイプ。一方でAirPods Proは耳の穴に押し込むようにして装着する「カナル型」です。
そしてなんといっても、AirPods Proの目玉が機能は「アクティブノイズキャンセリング」でしょう。周囲の騒音を打ち消してくれる機能で、詳しくはこのあと紹介したいと思いますが、AirPods Proは優秀なノイキャン性能に定評があります。
スペックの違いをご紹介したところで、両者を長期間使ってみて感じたことをレビューしていきます。
AirPods(第2世代)とAirPods Proの長期レビュー
AirPods(第2世代)が発売されたのは2019年3月26日、AirPods Proの発売は2019年10月30日。どちらも発売日に購入したので、どちらもかなり長く愛用しています。
どちらも気に入って使っていますが、結論からいうと、使用頻度が高いのはAirPods ProではなくAirPodsです。
着けていて楽なのはインイヤー型のAirPods
AirPodsは耳に引っ掛けて装着するインイヤー型イヤホンです。
よくある一般的なかたちですね。「耳のかたちに合わず落ちてしまう」という声もありますが、僕の場合はそのようなことはありません。AirPodsのかたちはiPhone付属の有線イヤホン「EarPods(イヤーポッズ)」と同じなので、自分の耳のかたちに合うかどうか心配な方は試してみるといいでしょう。
AirPods Proは「カナル型」のイヤホン。耳栓のように耳に押し込んで装着します。S/M/Lサイズのイヤーチップが付属されているので、ほとんどの方の耳に合うはずです。
カナル型のAirPods Proは、インイヤー型のAirPodsよりも装着時の安定感があります。遮音性もカナル型のほうが上です。
カナル型は密閉性が高く音の厚みを感じられるというメリットがありますが、装着時の圧迫感のなさでいえば、段違いにインイヤー型のAirPodsのほう上ですね。圧迫感がない。着けていて疲れません。AirPodsを装着した状態で2、3時間の映画を観ても、まったく気にならず、着けていることを忘れるほどです。
ただ、カナル型のAirPods Proの圧迫感が強いかといえば、決してそういうわけではありません。Appleのいう「通気システム」が圧迫感の軽減に寄与しているのかと思いますが、他のカナル型イヤホンと比べるとかなり快適なほう。
それでも、その耳につけたときな装着感の良さと軽さから、自然と手が伸びる回数が増えるのはAirPods ProではなくAirPodsです。
ノイズキャンセリングについての所感
AirPods Proのノイキャン性能は優秀で、エアコンや空気清浄機の駆動音から、車や電車の騒音、人の話し声までキレイに消し去ってくれます。 高いノイキャン性能が評価されているSONYの「WF-1000XM3」と比べても、同等の性能であると感じます。
さらにAirPodsがすごいのは、ノイキャン搭載のイヤホン・ヘッドホン特有の「鼓膜に感じる圧迫感」が少ないこと。違和感とも言えるこの圧迫感が、僕は苦手なんです。WF-1000XM3で感じる嫌な圧迫感は、AirPods Proでは感じられません。
ノイキャンが活きるのは、騒音が気になる場所やシーンでしょう。例えば通勤時やカフェ、静かに集中したいときですね。こういった場所やシーンでは、AirPods Proの遮音性、そしてノイキャンが活躍してくれます。
それでもAirPods ProではなくAirPodsに手が伸びる回数が多いのは、僕の主な利用シーンがノイキャンを必要とする場所やシーンではないから。基本的に自宅で使用することが多いので、着けていて楽なAirPodsという選択になることが多いですね。
AirPodsの遮音性の低さがメリットと感じる
インイヤー型のAirPodsは、よく遮音性が低いというデメリットを指摘されていますよね。音漏れもそうです。電車に乗っていても、AirPodsから音が漏れているのをよく見かけます。しかも盛大に。
ただ、 実際にAirPodsを使っていて、僕はそのデメリットをメリットと感じています。自然に周囲の音が入ってくるので、装着したまま会話することも可能ですし、屋外で使っていても周囲の音が聞こえず不安になることもありません。
カナル型で遮音性が高いAirPods Proは、悪く言えば、その遮音性の高さが仇となり使えるシーンが限られるのです。装着したまま出歩くのは危険ですし、ましてやノイキャンをオンにした状態で出歩けば近づいてくる車の音が聞こえず事故に繋がることさえありえます。
装着したまま会話でき、近くで遊んでいる子供もしっかり聞こえる。これはその人の使い方によるところもありますが、僕の場合は周囲の音を聞きたいので、AirPods ProよりAirPodsのほうが向いています。
遮音性の低さをどう捉えるか。これがAirPods Proを選ぶか、AirPodsを選ぶかの分かれ目になるでしょう。
ワイヤレス充電は便利だが必須ではない
AirPodsの充電ケースにはワイヤレス充電対応の充電ケース(with Wireless Charging Case)、非対応の充電ケース(with Charging Case)の2種類あります。 「with Charging Case」は17,800円、「with Wireless Charging Case」は22,800円と、価格差は5,000円ほど。
ワイヤレス充電はLightningケーブルの抜き差し充電パッドに載せるだけでAirPodsを充電できる便利な機能ですが、蓋を開ければあまり使っていないことに気付きます。
確かにワイヤレス充電は便利なのですが、有線での充電のほうが速いんです。有線での充電であれば、0%→100%までだいたい2時間、ワイヤレス充電の場合は3時間ほど。僕はワイヤレス充電することがまったくない訳ではないものの、ほぼ有線で充電してしまっています。
AirPods Proはワイヤレス充電対応ケースのみなので選択肢はひとつ。ですがAirPodsは選べます。ワイヤレス充電にこだわりがないのであれば、価格の安い「with Charging Case」をおすすめします。
あなたにおすすめしたいのはこのAirPodsモデル
どのような人に、どのAirPodsモデルがおすすめなのか。まとめてみます。
「圧迫感、装着感が苦手な人」「使用しながらも、周囲の音を聞き取りたい人」このような人はAirPods がおすすめです。着けていることを忘れるほど軽い装着感。周囲の音がしっかり聞こえるので、装着したままの「ながら作業」が捗ります。話しかけられてもしっかり反応できますし、そのまま会話することも難なくできます。
周囲の音、騒音をシャットアウトしたいのなら、AirPods Proですね。カナル型で遮音性が高く、ノイキャン性能も優秀。騒がしい場所でも音量を上げずに音楽を楽しめます。ただし、ドラマ・映画視聴などで長時間使用する場合は、カナル型ゆえ疲れ、最終的に耳が痛くなってきます。使っていて楽なのは間違いなくAirPodsです。
全体的にAirPods押しになっちゃっていますが、軽い装着感というのは大きいポイントだと感じます。使っていて楽なイヤホンと、そうでないイヤホンがあれば、手に取る回数が多くなるのは間違いなく前者。僕のように装着感を重視する人であれば、AirPods ProではなくAirPodsをおすすめします。
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