本記事ではAnker(アンカー)の充電器「Anker 735 Charger(GaNPrime 65W)」のレビューをご紹介しています。
Anker GaNPrimeシリーズのひとつにラインアップされている本製品は、最大65WのUSB-Cポートを2つ、最大22.5WのUSB-Cポートを1つを搭載します。高出力ながらコンパクトな充電器で、普段使いから持ち出し用途まで幅広い利用シーンで活用でき高性能な充電器です。
- 最新の「Anker GaNPrime」採用の充電器
- 最大65Wとパワフルなのにコンパクト&軽量
- PowerIQ 4.0で複数デバイスを同時に急速充電
- 使用するUSBポートの組み合わせで充電ワット数が下がる
- コストパフォーマンスがよくない
Anker 735 Charger(GaNPrime 65W)の特徴・スペック
AnkerのGaNPrimeシリーズは、「”同時”急速充電という、新常識」というキャッチフレーズを掲げて登場した、GaN(窒化ガリウム)採用のAnker最新の充電器です。
Anker 735 Chargerは、GaNPrimeシリーズのなかでは「末っ子的な位置付け」になるでしょうか。シリーズ中もっとも対応ワット数が低いものの、サイズ・重量ももっとも小さくなっています。
製品名 | 735 Charger (GaNPrime 65W) | 737 Charger (GaNPrime 120W) | 747 Charger (GaNPrime 150W) | 733 Power Bank (GaNPrime PowerCore 65W) | 727 Charging Station (GaNPrime 100W) | 615 USB Power Strip (GaNPrime 65W) |
---|---|---|---|---|---|---|
特徴 | コンセント一体 | コンセント一体 | コンセント一体 | USB充電器 & モバイルバッテリー(10000 mAh) | USB充電器 & 電源タップ | USB充電器 & 電源タップ |
搭載ポート | USB-C × 2 USB-A × 1 | USB-C × 2 USB-A × 1 | USB-C × 3 USB-A × 1 | USB-C × 2 USB-A × 1 | USB-C × 2 USB-A × 2 AC × 2 | USB-C × 2 USB-A × 1 AC × 2 |
USB-C出力 | 最大65W | 最大100W | 最大100W | (充電器使用時)最大65W (モバイルバッテリー使用時)最大30W | 最大100W | 最大65W |
合計出力 | 最大65W | 最大120W | 最大150W | (充電器使用時)最大65W (モバイルバッテリー使用時)最大30W | 最大100W(USB) 最大1000W(AC) | 最大65W(USB) 最大1000W(AC) |
PowerIQ | PowerIQ 4.0 | PowerIQ 4.0 | PowerIQ 4.0 | PowerIQ 3.0(Gen2) | PowerIQ 3.0(Gen2) | PowerIQ 3.0(Gen2) |
サイズ | 約66 × 38 × 29 mm | 約80 × 43 × 32 mm | 約68 × 61 × 31 mm | 約111 × 63 × 31 mm | 約161 × 79 × 18 mm | 約119 × 59 × 47 mm |
重量 | 約132 g | 約187 g | 約232 g | 約320 g | 約400 g | 約300 g |
価格(税込) | 7,990円 | 12,990円 | 14,990円 | 14,990円 | 12,990円 | 6,990円 |
製品ページ | Amazon Anker公式 | Amazon Anker公式 | Amazon | Amazon | Amazon Anker公式 | Amazon Anker公式 |
△ スマホでは横スクロールできます。
対応ワット数が最も低いといっても最大65Wに対応する分けですから、決して充電性能が低いというわけではありません。スマホやタブレットの急速充電はもちろん、MacBook Air / ProといったUSB PD充電に対応するノートPCの充電をこなしてくれるほどのパワーがあります。
その他のAnker GaNPrime充電器に興味がある方は、別記事の「Anker GaNPrimeシリーズの違いを比較」でご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
Anker GaNPrimeの特徴・進化ポイントは?
まず、「Anker GaNPrimeってなんだ?何が進化したの?」ということで、Anker GaNPrimeのポイントについてまとめました。
新設計でさらなる小型化を実現
GaN(窒化ガリウム)採用の充電器は、Ankerからもこれまでたくさんの充電器が発売されてきましたが、GaNPrimeでは、電源ICの分散配置・内部設計の最適化でさらなる小型化が実現されています。
PowerIQ 4.0で流動的に賢く電力配分
接続されたデバイスに応じて、最適な電力分配してくれるAnkerの独自技術PowerIQが、「PowerIQ 4.0」となりさらに賢く、かつさらにパワフルになりました。
PowerIQ 4.0では、接続デバイスに流動的に電力分配、複数デバイスを効率的に急速充電してくれます。また、100W以上の出力にも対応しています。
ActiveShield 2.0で過度な温度上昇を防止
Anker GaNPrimeとなり、充電性能の向上だけでなく安全性に関する機能も進化しています。
安全機能のひとつである「ActiveShield 2.0」では、温度監視の頻度が1秒間に35回と従来よりアップ、リアルタイムに電流・電圧の負荷を調節して過度な温度上昇を防止してくれます。
「いかに安全に使えるか」は、ある意味、充電性能よりも大事なポイントです。複数デバイスを同時に急速充電するとなるとある程度の発熱は避けられませんが、「しっかり温度を監視してコントロールしてくれている」という点は安心感がありますね。
仕様・スペック
Anker 735 Charger(GaNPrime 65W)のスペックは以下のとおりです。
製品名 | Anker 735 Charger(GaNPrime 65W) |
---|---|
搭載ポート | USB-C × 2 USB-A × 1 |
USB-C出力 | 5V=3A / 9V=3A / 15V=3A / 20V=3.25A (最大65W) PPS充電対応 |
USB-A出力 | 4.5V=5A / 5V=4.5A / 5V=3A / 9V=2A / 12V=1.5A(最大22.5W) |
合計出力 | 最大65W |
入力 | 100-240V ~ 1.8A 50-60Hz |
折りたたみ式プラグ | 〇 |
サイズ | 約66 × 38 × 29 mm |
重量 | 約132 g |
カラー | ブラック |
パッケージ内容 | Anker 735 Charger(GaNPrime 65W) 取扱説明書 最大30か月保証(24か月保証、条件付きで+6か月) |
複数ポートを同時使用したときは、以下のように電力が振り分けられます。
単ポート使用時 | USB-C:最大65W USB-A:最大22.5W |
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2ポート使用時 | USB-C1 + C2:合計最大65W USB-C1 + A:合計最大65W USB-C2 + A:合計最大24W |
3ポート使用時 | USB-C1 + C2 + A:合計最大65W |
外観・サイズ・重量
Anker 735 Chargerの外観を見ていきましょう。
側面にはAnkerのロゴと「GaNPrime」の文字が印字されています。
折りたたみ式プラグ採用で、未使用時・持ち運び時にはプラグを折りたたんでおけます。
プラグと反対側に雨SBポートが3つ並んでいます。
サイズは約66 × 38 × 29 mmとなっています。iPhone 12 Pro Maxと並べてみるとこのとおり。最大65Wに対応するとは思えないほどのサイズ感です。
上はM2 MacBook Airと並べています。充電性能についてはレビューでご紹介していますが、このサイズでM2 MacBook Airをフルスピード充電できるわけですから、なんとも頼もしい充電器です。
Anker 735 Chargerの重量は、公称では約135 gとなっています。キッチンスケールで重量を量ってみると、約125 gと公称値よりも少し軽い重量。軽いぶんには問題ないですね。
Anker 735 Charger(GaNPrime 65W)レビュー
ということで、Anker 735 Charger(GaNPrime 65W)のレビューに入っていきます。
USB電圧・電流チェッカーで仕様を確認
USB電圧・電流チェッカーを使って、Anker 735 Chargerの充電に関する仕様を確認しました。
USB PD 3.0、そして3.0のオプションである「PPS」充電にも対応します。
Apple 2.4A、Samsung AFC、Huawei SCP、Quick Chargeなど、USB PD以外にも多くの急速充電に対応しています。規格に準拠したピュアなUSB PD充電器、というわけではないものの、特に使用の問題にはならないのでスルーしておきます。
PDO(Power Data Objects)は上のとおりです。メーカーの説明と相違ありません。
M2 MacBook Airを高速充電できることを確認
M2 MacBook Airは、30分の充電でバッテリー残量を最大50%回復できる「高速充電」に対応しています。
Anker 735 Chargerで、この30分で50%の高速充電を実現できます。
- 充電開始時のバッテリー残量:11%
- 30分経過:62%
- 60分経過:89%
実際にAnker 735 ChargerでM2 MacBook Airを充電してみると、30分間の充電でM2 MacBook Airのバッテリー残量が51%アップしています。
出先でもこの速度で充電できるとは心強い!
同時充電時のワット数をチェック
上でもご紹介したように、複数ポート使用時は以下のような電力振り分けになります。
単ポート使用時 | USB-C:最大65W USB-A:最大22.5W |
---|---|
2ポート使用時 | USB-C1 + C2:合計最大65W USB-C1 + A:合計最大65W USB-C2 + A:合計最大24W |
3ポート使用時 | USB-C1 + C2 + A:合計最大65W |
いくつかの組み合わせで同時充電してみて、どれくらいのワット数で充電できているかを見てみます。
iPhone + iPadを同時充電
- iPhone 12 Pro Max:約22W
- iPad Pro 12.9インチ:約31W
結果は上のようになりました。iPhone、iPadともフルスピード充電に近いワット数で充電できていました。最大65Wの充電器ですので、スマホ + タブレットの同時急速充電くらいであれば楽ラクこなしてくれますね。
「ノートPCを充電することはないから最大65Wも必要ない」という方でも、最大65Wというパワーは、小型・中型デバイスの同時急速充電活躍してくれます。
MacBook Air + iPhoneを同時充電
- M2 MacBook Air:約30W
- iPhone 12 Pro Max:約22W
M2 MacBook Air付属の充電器の出力は最大30W(30W USB-C電源アダプタ)ですから、iPhone 12 Pro Maxと同時に充電してもそれと同等の速度で充電できることになります。
同時充電においてはM2 MacBook Airの30分で50%の高速充電はできませんが、スマホ + ノートPCの組み合わせでも十分な速度で充電できます。
MacBook Air + AirPodsを同時充電
- M2 MacBook Air:約30W(USB-C1)
- AirPods(第3世代):約1.6W(USB-C2)
USB-C1(上部) + C2の2ポートを使うと、上のように出力されていました。最大65Wという充電器の性能を考えると、もうちょっとM2 MacBook Air側のワット数が高くなってもおかしくないのですが、確認した限りは30W前後止まりでした。
- M2 MacBook Air:約38W(USB-C1)
- AirPods(第3世代):約1.6W(USB-A)
USB-C1(上部)とUSB-Aポートを使ってみると、M2 MacBook Air充電時のワット数が約38Wに上昇。
- M2 MacBook Air:約14W(USB-C2)
- AirPods(第3世代):約1.6W(USB-A)
USB-C2(下部)とUSB-Aを使うと、M2 MacBook Air側が約14Wに。これでは実用的なレベルではありません。
この結果をみると、「PowerIQ 4.0って、期待していたよりは賢くないのかも」と思ってしまいますね。ちなみに、M2 MacBook AirをUSB PD充電に対応するWindowsノートPCに替えてみても結果は同じでした。
やはりノートPCなどの大型デバイスを充電するときは、できる限り単ポートで充電したほうがよさそうです。
MacBook Air + WindowsノートPCを同時充電
- M2 MacBook Air:約30W(USB-C1)
- ASUSゲーミングノートPC:約30W(USB-C2)
M2 MacBook AirとASUSのゲーミングノートPCを同時充電したときのワット数を確認してみました。
それぞれ約30Wで充電されており、ほぼAnker 735 Chargerの充電性能をほぼフルに使えていると考えていいかと思います。
Anker PowerPort III 3-Port 65W Podと比較して何が違う?
Anker 735 Chargerに似たAnker製充電器で、「PowerPort III 3-Port 65W Pod」という製品があります。
PowerPort III 3-Port 65W Podのサイズは、約66 × 38 × 29 mmとAnker 735 Chargerとまったく同じ。最大65Wに対応、搭載するUSBポート数も同じです。
大きい違いとしては、同時充電時における電力分配のされかたが異なること。PowerPort III 3-Port 65W Podで2つのUSB-Cポートを同時使用したとき、上部のUSB-Cポートが最大45W、下部のUSB-Cポートが 最大20Wとなります。
その点、Anker 735 Chargerでは空いているほうのUSB-Cポートに挿せばOKなのでラクです。
まとめ:充電器としては「〇」でもコスパは「×」
PowerIQ 4.0の登場で「とりあえず空いているUSBポートに挿せば、あとはいい感じに充電してくれるようになったのかな?」と期待していたのですが、そうではないことが分かり少し残念。
とはいえ、Anker 735 Chargerの完成度は高く、高い安全性含め「さすがAnker」と思わせてくれるポイントがいくつもあります。
ただ、コストパフォーマンスについては、正直なところいいとは言えません。Anker 735 Chargerの価格は、記事執筆時点で7,990円(税込)。円安の影響もあるのでしょうが、ちょっと手を出しにくい価格です。
充電性能・機能を考えても、7,990円はちょっと高過ぎる……。
それなら、サイズ・重量・充電性能が同じの「Anker PowerPort III 3-Port 65W Pod」でいいのかな、という印象です。
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