スマホにワイヤレスイヤホン、タブレット、ノートPCと、充電が必要なデバイスは何かと多いですが、今回ご紹介する「Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)」があれば、それらの充電を一手に引き受けてくれます。
合計3ポート構成でUSB-Cポートは最大100W出力に対応、あらゆるデバイスの充電をカバーする充電性能があり、さらにコンパクトで携帯性にも優れる優秀な充電器。
Ankerが「Anker史上最高峰充電器シリーズ」とうたう「Anker Primeシリーズ」の中核をなすモデルのひとつですが、その名にふさわしいスペックを備えます。
ただし、高性能な充電器だけに価格帯は高めです。本記事ではその価格に見合う充電性能・携帯性はあるのか、気になる発熱はどうなのかなど、実際に愛用する中で感じたメリット・デメリットの両面をレビューとしてお届けします。

- 単ポートで最大100W出力に対応、15インチクラスのノートPCも充電できる
- 3ポート構成で複数デバイスを同時に急速充電できる
- 100W出力・3ポート構成ではトップクラスのコンパクトさ
- 電源プラグの改良でコンセントに挿したときの安定性が向上
- 高級感のあるデザインと質感
- 価格帯は高めで安さを求める方にとっては手を出しにくい
- ピーク時には70℃越えの発熱があり、何時間もの連続使用には向いていない
- 3台同時充電時にひとつのUSB-Cポートの出力が低下する
製品の仕様と対応デバイス
Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)の詳しい仕様は以下のとおりです。
製品名 | Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN) |
---|---|
入力 | 100-240V ~ 2.1A 50-60Hz |
ポート構成 | USB-C x 2 USB-A x 1 |
USB-C1/C2出力 | 最大100W (5V=3A、9V=3A、15V=3A、20V=5A) |
USB-C PPS出力 | 5-11V=5A(筆者調べ) |
USB-A出力 | 最大22.5W |
折りたたみ式電源プラグ | 〇 |
サイズ | 約68 x 45 x 29 mm |
重量 | 約168 g |
カラー | シルバー |
パッケージ内容 | Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN) 取扱説明書 |
メーカー保証 | 24か月 + 6か月(Anker会員登録後) |
価格(税込) | 8,990円 |
合計3ポートのうちUSB-Cポート2基は、最大100Wの出力に対応します。PPS(Programmable Power Supply)充電にも対応し、様々なデバイスを高速に充電できます。
USB PD(Power Delivery)に対応するデバイスなら、なんでもこいのスペック。私の手元にあるデバイスだと、iPhoneからiPad、13インチMacBook Air、16インチMacBook Pro、ASUSの15.6インチゲーミングノートPCまでの充電をこなしてくれます。
USBチェッカーで対応する急速充電規格を確認してみると、Apple 2.4AやQuick Chage 4+/3にも対応していました。USB PDに対応していなくても、これらに対応するデバイスなら急速充電可能です。
USB PDの規格上、本来はUSB PD以外への対応は規格違反となりますが、実際のところは複数規格に対応するものがほとんどです。使用や安全性には問題ありません。
製品の外観
Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)は、そのスペックだけでなくデザインや質感もプレミアム。続いては外観を見ていきましょう。
カラーバリエーションは「シルバー」のみ。カラーは選べませんが、落ち着いた色合いで大人な雰囲気をまとっています。
外装はプラスチック素材ですが、わずかに光沢がありシックで高級感があります。プラスチッキーな安っぽさはありません。
電源プラグの側にはライン状の装飾があります。細部に至るまでこだわってデザインされていることが分かります。
USBポートが配置されている前面は、光沢のあるブラックデザインとなっています。シルバーとの対比がいいアクセントになっていますね。
持ち運び用途では必須の折りたたみ式電源プラグ構造です。詳しくは後ほどご紹介しますが、従来の充電器と比べてコンセント差し込み口から脱落しにくい設計に進化しています。
トップクラスのコンパクトさが魅力
Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)のサイズは約68 x 45 x 29 mmと、100W出力・3ポート構成の充電器としてはトップクラスのコンパクトさです。
Ankerによると、「クレジットカードよりも小さく、一般的な100W出力以上の充電器に比べ、約50%の小型化を実現。」とのこと。確かに100W出力・3ポート構成とは思えないほどのサイズ感です。
MacBook Proで選択できるApple純正充電器「Apple 96W USB-C電源アダプタ」と並べてみるとこのとおり。3ポート構成でこのサイズなのですから驚きです。
重量も約168 gと軽く、持ち運ぶ機会が多い方にとってはポイントです。
実測では約172.92 gでした(公称は約168 g)。iPhone 16の重量が170 gですので、ざっくりスマホ1台分の重さといったところです。
正直なところ、軽さについてはコンパクトさほどのインパクトはありません。「こんなにコンパクトなのにずっしり」と見た目と手に持ったときギャップから重さを感じるかもしれません。
ちなみに、Apple 96W USB-C電源アダプタの重量は実測で約293 g。他の100Wクラス充電器をお持ちの方であれば、コンパクトさだけでなく軽さも体感できるはずです。
100W出力でノートPCの充電もOK
Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)に搭載されている2つUSB-Cポートは、単ポートで最大100W出力に対応します。
スマホやタブレットはもちろん、14インチMacBook ProならApple純正充電器と変わらないフルスピードで充電できます。
16インチMacBook Proには「Apple 140W USB-C電源アダプタ」が付属されていますが、実は100Wでも十分な充電速度が出ます。実際に試してみると、30分間の充電でバッテリー残量が13%から53%にアップしました。
Apple 140W USB-C電源アダプタのサイズは約96.2 x 75.1 x 28.5 mm、重量は約277.6 g。大きいサイズ差がありますし、重量もAnkerの約1.65倍です。出力は140Wから100Wに下がるものの、充電器を軽量化したいと考えている方にはAnker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)がぴったりです。
USB-Cポートからの給電・USB PDに対応するデバイスなら、WindowsノートPCの充電もこなしてくれます。
上ではASUSのゲーミングノートPCを充電しています。大きい電力を消費するゲームプレイ中は別にして、普段使いのなかでは充電器として十分使えます。
3ポート搭載で同時に急速充電
なかには「自分には100Wも必要ない」という方もいるかと思いますが、高出力の充電器を選ぶことで複数デバイス同時の急速充電を実現できます。
私のよくあるパターンとしては、13インチMacBook AirとiPhone/iPadの同時充電。
2つのUSB-Cポートを同時に使用した際は、65W + 35Wに振り分けられます。MacBook AirとiPhone/iPadを急速充電するには十分な電力です。
ただし、USB-C2ポート(真ん中のUSB-Cポート)とUSB-Aポートを同時に使用すると合計出力が最大24Wに低下します。パソコンのアイコンが描かれた「一番上のポートを優先的に使う」と覚えておけばOKです。
USB-Aポートを含む3ポート同時使用時は、65W + 24W(USB-C2 + A)で振り分けられます。
3ポート使用時でも、USB-Cポートの65Wの出力を確保できるのは便利。ノートPCのような大型デバイスの充電がメインの方でも、積極的に同時充電できます。
実際に3台同時に使用してみましたが、MacBook Airは実測で約59Wで充電できているのに対して、iPhoneでは実測で約6Wに留まりました。
13インチMacBook AirをiPad(第10世代)に替えてみましたが、同じ結果となりました。USB-C2 + Aで合計24Wのはずですが、これはちょっと期待外れですね。非常に優秀な充電器だけに、もうちょっと賢く振り分けてくれれば便利なのにと惜しく感じます。
電源プラグの改良で脱落しにくい
地味ながら「便利だな」と感じたのが、電源プラグの改良です。Ankerによると、「重心位置の調整に加え、プラグ本体へ厚み持たせて摩擦力を上げる構造を採用」とのこと。
どうしてもサイズが大きく重くなる高出力の充電器では、抜け落ちてしまうことはまれですが、上のように重みでお辞儀してしまうことがほとんどです。コンセントに差し込み口にも個体差があります。
電源プラグが改良されたAnker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)なら問題なし。壁に対して垂直の状態でしっかり固定されています。そのぶん電源プラグの抜き挿しは硬めではありますが、特に使い勝手に影響することはありません。
気になったところは?
続いては、Anker Prime Charger (100W, 3 ports, GaN)を使っていて気になるところについてご紹介します。デメリットもしっかりと踏まえた上で購入を検討してみてください。
価格帯は高め
Anker Prime Charger (100W, 3 ports, GaN)は8,990円(税込)と価格帯は高め。充電性能を考えると高過ぎることはないのですが、安くもないことは確かです。
ここまでご紹介した充電性能や携帯性、使い勝手の良さが、価格に見合うと思えるかどうかがポイントになるでしょう。100W・3ポート構成でこのサイズ感のものはなかなかありません。個人的には価格に見合うと感じています。
「もう少し価格帯を下げたい」ということなら、同じ100W・3ポート構成の「UGREEN Nexode X 100W」がおすすめ。
UGREEN Nexode X 100Wは頻繁にAmazonのタイムセールの対象となります。通常価格は8,880円ですが、セール時には5,000円台で購入できます。
「1ポートあればいい」ということなら、より安く購入できる「Anker Nano Charger (100W)」がいいでしょう。
シンプルなポート構成ですが、Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)よりも、さらにコンパクトで軽量です。
連続使用時の発熱
フルパワーの100Wでの充電が続くと、充電器本体はそれなりに発熱します。以下は16インチMacBook Proを充電し始めてから約30分後の表面温度です(室温25℃)。
接続デバイスのフル充電が近づくと、出力とともに表面温度も下がってきます。とはいえ、数秒間触れていられないほどの温度に達します。フルパワーで連続使用したときはそれなりの発熱があることは知っておきましょう。
なお、Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)には、Ankerの安全機能「ActiveShield 2.0」が備わっています。頻繁な温度監視(1秒あたり35回)が行われており、一定温度に達したときに出力を下げることで温度上昇を防止します。
安全機能によって出力が低下することがあるため、「何時間も100Wで給電したい」という使い方には向きません。その場合は、よりパワフルな「Anker Charger (140W, 4 Ports)」といったパワーに余裕がある充電器がいいでしょう。100W充電器で100Wのフルパワーで充電するより、140W充電器で100W充電したほうが発熱は少なくなります。
また発熱の少なさに関しては、Apple純正充電器が優秀です。携帯性は犠牲になりますが、Apple純正充電器は私が知る限りもっとも発熱の少ない充電器です。
レビューまとめ
ということで今回は、充電性能と携帯性を見事に両立した「Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)」をご紹介しました。Anker史上最高峰とうたわれている「Anker Primeシリーズ」の名に恥じない充電器です。
やはり「100W・3ポート構成の充電器をこのサイズ感で」というところがポイントになるかと思います。ノートPCと一緒に頻繁に持ち運ぶ方にとっては、最高の相棒となってくれるはずです。
ノートPCを充電しなくても、スマホやタブレットなどを同時に急速充電したい方にも便利です。サイズ感は65Wクラスと変わりません。旅行や出張などこれ1台持っていけば、あらゆるデバイスの充電をカバーできます。
デメリットとして挙げた「発熱」については、スマホやタブレット、ノートPCを充電する程度なら気にしなくても大丈夫です。確かに発熱はあるものの、100Wと高速に充電が完了するため、何時間も高温状態が続くことはありません。
ただし「大型の撮影用LED照明に給電する」といったように、100Wで長時間給電するような使い方だと、安全機能により出力が低下する可能性があります。その場合は、100Wよりも大きいパワーのある充電器を選ぶか、Apple純正充電器のように大きくても発熱が少ない充電器を選びましょう。
よくある質問
カラーバリエーションはある?
カラーバリエーションは「シルバー」のみです。
安全性は大丈夫?
Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)には、過電圧保護や短絡防止、ActiveShield 2.0による温度管理といった多重保護システムが搭載されています。そのため安心して使用できます。
海外でも使用できる?
100-240Vの入力電圧に対応しているため、世界中のほとんどの国や地域で使用できます。ただし、電源プラグの形状が異なる場合は別途変換プラグが必要です。
USB-Cケーブルは付属してる?
USB-Cケーブルは付属されておらず、お持ちでない場合は別途用意する必要があります。
その際には「100W以上の充電が可能なUSB-Cケーブル」を用意してください。60Wまでの充電にしか対応しないUSB-Cケーブルが多数販売されており、それを使用すると充電ワット数が最大60Wに抑えられてしまいます。
お探しの方は以下のUSB-Cケーブルがおすすめです。シリコン素材で扱いやすく、100W充電にも対応します。
16インチMacBook Proは充電できる?
充電できます。16インチMacBook Proは最大140Wの入力に対応しますが、100Wでも十分な速度で充電可能です。
実際に16インチMacBook Pro(M3 Max)では、30分間の充電で13% → 53%まで充電できることを確認しています。
Androidスマホも急速充電できる?
AndroidスマホのほとんどはUSB PDに対応しているため、問題なく急速充電できます。Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN)はPPS充電にも対応しています。GalaxyスマホやGoogle Pixelの一部機種など、PPS充電対応のスマホではその恩恵を受けられます。
保証期間は?
Anker Prime Charger (100W, 3 Ports, GaN) には24か月のメーカー保証が付いており、Anker会員の登録でプラス6か月延長、合計で30か月の保証を受けられます。