本記事では、Appleの「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」のレビューをお届けします。
これはM2 MacBook Airの付属品として提供されている充電器で、Apple公式サイトやAmazonなどでは単体で購入することもできます。ちなみに、単体で購入したときの価格はApple公式サイトで7,800円(税込)となっています。
M2 MacBook Air(8コアGPUモデル)では、+3,000円のオプションとして「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」、または「67W USB-C電源アダプタ」が用意されています。
M2 MacBook Air | 選択できる付属充電器 |
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8コアGPUモデル | ・30W USB-C電源アダプタ ・デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ(+3,000円) ・67W USB-C電源アダプタ(+3,000円) |
10コアGPUモデル | ・デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ ・67W USB-C電源アダプタ ※いずれもアップデート料金なし |
MacBook Airを高速に充電したいという方であれば「67W USB-C電源アダプタ」一択なのですが、どちらを選択しようか迷われる方もいるかと思います。
本記事ではデュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタの仕様や使い勝手についてレビューしていますので、ぜひ参考にしてみてください!
Apple デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタをレビュー
単体でも購入できるデュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタですが、今回レビューするのは、M2 MacBook Airに付属されていたもの。
私が購入したのは10コアGPUモデルのM2 MacBook Airですので、アップデート料金なしで67W USB-C電源アダプタも選べたのですが、60Wクラスの充電器をすでに持っていたこともあって、あえてこちらを選んでみました。
外観・サイズ・重量
まずは、「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」の外観・サイズ・重量をチェックしてみます。
▲ 表面の質感は、他のApple純正充電器と同じですね。ツヤツヤとした光沢のあるプラスチック素材です。
▲ 未使用時や持ち運び時に邪魔になるプラグを折りたためる構造となっています。折りたたんだときのサイズは、約5 × 5 × 3cmです(実測)。
▲ 壁のコンセントに挿すと、USB-Cポートは上もしくは下を向きます。USBポートが側面にあるので、たとえば家具などの裏側にあるコンセントでも使いやすそうです。
▲ スケールで重量を確認してみると、約104 gでした。
M2 MacBook Air(8コアモデル)付属の「30W USB-C電源アダプタ」とサイズを比較してみます。
デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ | 30W USB-C電源アダプタ | |
---|---|---|
サイズ | 約5 × 5 × 3 cm | 約5.6 × 5.6 × 3cm |
重量 | 約104 g | 約106 g |
▲ 重量はほぼ同じですが、サイズはひとまわりコンパクト化されていますね。
次に、個人的に気に入っている充電器、Ankerの「711 Charger(Nano II 30W)」とサイズ比較してみます。
デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ | Anker 711 Charger (Nano II 30W) | |
---|---|---|
サイズ | 約5 × 5 × 3 cm | 約2.8 x 2.7 x 3.2 cm(プラグ含まず) |
重量 | 約104 g | 約34 g |
▲ Anker「711 Charger(Nano II 30W)」は、最大30WのUSB-Cポート1つを搭載する充電器です。そもそものスペックが異なるものの、サイズと重量はAnkerの圧勝です。コンパクトさ・軽さにこだわるのならこっちですね。
他社製品と比べて特別コンパクト・軽量というわけではないものの、Apple純正充電器としては順当に進化しているな、という印象です。
充電の仕様をチェック
続いては、デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタの充電の仕様をチェックしてみます。
▲ USBチェッカーで対応する急速充電を確認してみると、最大35WのPD(PD 3.0)に対応とのこと。PD 3.0のオプション規格であるPPS充電には対応していないようです。
▲ PD充電時のPDOは上のとおりです。PDのパワールールに準拠したものとなっています。
一般的なPD充電器として、Appleデバイス以外も充電できます。
単ポート使用時は最大35Wとなりますが、2ポート同時使用時はそれぞれのデバイスに応じて必要な電力が自動的に振り分けられることになります。
2ポート同時使用時の電力の振り分け
充電デバイス | 最大出力 |
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MacBook + iPhone/iPad | 最大17.5W + 最大17.5W |
iPhone + iPad | 最大17.5W + 最大17.5W |
MacBook/iPhone + Apple WatchまたはAirPods | 最大27.5W + 最大7.5W |
「どうせ充電するなら最大の速度で充電したいタイプ」の私からすると、正直なところ物足りないという印象を受けてしまいました。最大35Wの充電器ですから仕方のない部分ではあるものの、MacBook Air + αの充電時は極端に充電速度が下がってしまいます。
単ポートの使用がメインで、たまに2台同時に充電したいという方であればOKですが、頻繁に同時充電する方にはおすすめできません。
Appleデバイスを充電してみる
続いて、デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタを使い、手元にあるAppleデバイスを充電、実際にどれくらいのワット数で充電でできるのかを確認してみました。
MacBook Airを充電
▲ 実測で約33Wで充電できています。充電器の最大速度が35Wですから、目いっぱいの力で充電してくれていますね。
▲ 付属のMagSafe3ケーブルではなく、USB-Cケーブルでも確認してみましたが、充電ワット数の値は変わらず。特にケーブルにこだわる必要はなさそうです。
1時間の充電で、M2 MacBook Airのバッテリー残量が5%の状態からどれくらいバッテリー残量が増えるかをチェックしてみました。
1時間でどれくらい充電できる?
充電開始時 | 30分経過 | 60分経過 | |
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M2 MacBook Airのバッテリー残量 | 5% | 34% | 64% |
※デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ、MagSafe3ケーブルを使用 |
充電速度はそこそこ、という感じですね。決して遅くはないですが、急いでいるような場面では不満に感じてしまうかもしれません。
iPhone 12 Pro Maxを充電
▲ iPhone 12 Pro Maxを充電してみると、約22Wで充電できていました。最新のiPhone 13シリーズ含め、デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタを使えばiPhoneをフルスピード充電できます。
Apple Watch Series 7を充電
Apple Watch Series 7は、約45分でバッテリー残量が0%から80%まで充電できる高速充電に対応しています。高速充電の条件として、Appleは「5W 以上の USB Power Delivery (USB-PD) に対応する他社製の互換 USB-C 電源アダプタ」が必要としており、デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタはこの条件を満たします。
▲ iPhoneとApple Watchを同時充電したとき、最大27.5W + 最大7.5Wの振り分けとなり、どちらも同時に急速充電できます。
個人的にはiPhone + Apple Watchの組み合わせで使用が多くなりそう。
iPad Pro 12.9インチを充電
▲ iPad Pro 12.9インチを充電してみると、約34Wで充電できていました。非常に高速に充電できています。
デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタを使えば、PD充電に対応するiPadを高速に充電できます。
【参考】PD充電に対応するiPad
モデル | 世代 | 発売年 |
---|---|---|
iPad | 第8世代 | 2020年 |
第9世代 | 2021年 | |
iPad mini | 第5世代 | 2019年 |
第6世代 | 2021年 | |
iPad Air | 第3世代 | 2019年 |
第4世代 | 2021年 | |
第5世代 | 2022年 | |
iPad Pro 10.5インチ | ─ | 2017年 |
iPad Pro 11インチ | 第1世代 | 2018年 |
第2世代 | 2020年 | |
第3世代 | 2021年 | |
iPad Pro 12.9インチ | 第2世代 | 2017年 |
第3世代 | 2018年 | |
第4世代 | 2020年 | |
第5世代 | 2021年 |
【おまけ】Xperia 1 IIIを充電
▲ 参考に、Xperia 1 IIIでも充電してみました。約25Wと高速に充電できています。PD充電に対応するデバイスであれば、Apple製以外のデバイスも急速充電できます。
まとめ:わざわざこれを選ぶメリットは少ない
そこそこコンパクト & 軽量で、そこそこ高速に充電できる「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」ですが、正直なところ、単体購入してまでこれを選ぶメリットは少ないかと思います。
そう思う最大の理由が、コストパフォーマンスの悪さです。価格が7,800円(税込)と高く、同じ価格を出すなら、サードパーティ製のさらに充電性能の高い充電器が買えちゃいます。
この充電器ならM2 MacBook Airを急速充電できますし、ワット数が大きいのでMacBook Air + αの同時充電もこなしてくれます(USB-Cポート同時使用時は最大40W + 最大20W)。
コンパクトさ・軽さにこだわりたいなら、上でもご紹介したこれですね。最大30WとMacBook Airを充電できるほどのパワーがあります。携帯性の高さは、30Wクラスではこれに勝るものはないでしょう。
最後に総括いたしますと、
- デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタはコスパが悪い!わざわざ単体購入するメリットは少ない。
- M2 MacBook Airの付属充電器は、デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタでなく、「67W USB-C電源アダプタ」がおすすめ。
こんな感じでしょうか。
決して悪い充電器ではないことは付け加えておきますが、なにせ価格が高い……。半額程度であれば、また評価が変わっていたのかもしれません。
↓海外で使用する際にアダプタを交換できるタイプです。スペックは同じです。