紛失防止タグや忘れ物防止タグと、Appleの「AirTag(エアタグ)」のジャンルにはいくつかの呼び名がありますが、今回は「AirTagは盗難防止目的に使えるか?」というお話です。
結論から言うと、AirTagは盗難防止目的には向きません。
AirTagは盗難防止目的には向かない
自転車やバイク、カメラなど、AirTagを盗難されやすいものに取付けられたら……と個人的にも期待していたのですが、実際使ってみて仕様を確認してみると、どうやら盗難防止目的に利用するのは難しそうです。
持ち去った人にAirTagの存在がバレる
AirTagには、プライバシー保護の観点から、自分のものではないAirTagを持ち歩いていることが分かると、「AirTagがあなたの近くで見つかりました」とiPhoneの「探す」アプリに通知される機能が搭載されています。
また、AirTagが持ち主を離れてしばらく(3日間だと言われている)するとAirTagから音が鳴り出すので、iPhoneユーザーでなくてもAirTagの存在に気付くことになります。
つまり、盗んだものにAirTagが仕込まれていることが犯人にバレてしまうということです。しかも、「AirTagがあなたの近くで見つかりました」という通知をタップ、あるいはNFC搭載のAndroidスマホなどでAirTagをタッチすると、ご丁寧にAirTagを無効化する方法も教えてくれます。
なぜこういう仕様になっているのかというと、ストーカー被害を防ぐためです。AirTagを悪用されることを防ぐために、誰に対してもAirTagの存在を隠されないようになっているわけです。
よくよく考えてみれば、AirTagは誰かに見つけてもらうものですからね。
AirTagはかんたんに無効化できてしまう
AirTagはかんたんに電池交換できます。AirTagの光沢面を指で押さえながら時計回りにまわせば、もうそこにはボタン電池が。持ち去った人がAirTagの存在に気付き、電池を抜いてしまえば、当然AirTagは機能しなくなります。
わざわざ電池を抜かなくても、どこかに捨てられれば無意味ですし、かかとで踏んづければ、おそらく割とかんたんに破損させられそうです。
盗難に遭ったことに気付けない
例えば、AirTagをつけた自転車が盗難に遭ったとします。AirTagには持ち主から離れたときに通知してくれる機能はありません。盗難が発覚するのは、「止めたはずの自転車がない!」と持ち主が気付いたタイミングになるわけです。
気付いたときにはすでに盗まれてしまっている。しかも、もうそのときにはAirTagはどこかに捨てられているかもしれない。となれば盗難防止目的に使用するのは厳しいですね。
盗難防止目的には向かないが、保険として付けておくのはあり
盗難防止を目的としてAirTagを購入するのはおすすめしません。その理由は上で書いたとおりですね。
AirTagが発表された当時は、
「子供のカバンに付けておけば、見守りケータイ的な使い方ができるかも?」
「盗難されたものを追跡できるってこと?」
といったような「防犯目的で有効なのでは?」という声もありましたが、いざ機能を見てみるとこういう使い方は難しいことが分かります。Appleが「AirTagはヒトやペットではなく、アイテムを追跡するために設計されている」と強調するように、あくまでも「紛失防止タグ」としての使用がメイン。
ただ、盗難防止目的には向かないものの、保険として付けておくのはありだと思います。AirTagをかんたんに取り外せない場所、あるいは取り外すのに時間がかかる場所に固定しておけば、犯人は「もしかしたら追跡されているかも?」という気味の悪さから諦めてくれるかもしれません。逆にAirTagを目立つところに固定しておくのもありでしょう。わざわざAirTagがついているものを狙うことは考えづらいですからね。
盗まれたくないもの、ということは同時に「持ち主にとって大事もの」だと思います。通常の盗難防止対策に加えてAirTagをつけておけば、盗難ではなく単に紛失したときに役に立ってくれます。