「尊師スタイル」という言葉はご存知でしょうか。
尊師スタイルとは、ノートPC内蔵キーボードの上に別の外部キーボードを乗せて使用するスタイルのこと。
一部のファンから「尊師」と崇められていた有名プログラマー「リチャード・ストールマン氏」がこのスタイルで使用していたことに由来するのだそう。調べてみて初めて知りましたが、元ネタは有名なプログラマーだったんですね。
その見た目には賛否両論ありそうですが、お気に入りのキーボードとノートPCを組み合わせて使用するにはぴったりなスタイルです。
尊師スタイルで作業されている方を何度かカフェで見かけたことがあります。なかには見た目がダサいと言われる方もいますが、私はダサいどころかどことなくギークっぽくてかっこいいと感じました。「デキるプログラマー」という感じ。
本記事では、そんな尊師スタイルを実現する方法についてご紹介しています。記事中ではM2 MacBook Air・M1 MacBook Pro 16インチを使用しています。
基本的にどのようなキーボードとの組み合わせでも可能ですが、今回はお気に入りのキーボード「HHKB Professional HYBRID Type-S」を尊師スタイルのお供にします。他のキーボードとの相性についてもチェックしていますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
尊師スタイルには「キーボードブリッジ」が便利
尊師スタイルを実現するには、ノートPC内蔵キーボードの上に外部キーボードを乗せる必要があります。そこで用意しておきたいアイテムが「キーボードブリッジ」です。
外部キーボードによっては足を立てるなどしてキーボードブリッジなしでも置けますが、たいていはノートPC内蔵キーボードと干渉してしまいます。
内蔵キーボードを無効化したりしてキーボードブリッジなしで置いちゃうことも可能ではあるものの、長時間キーに負荷がかかるとキー内部のバネが弱ってしまう原因になることも。それにキートップへの傷も気になります。
私が使用しているのはHHKBキーボードユーザーではお馴染みバード電子の製品。なかには自作されている方もおられるようですが、間違いないと思いこれを購入しました。
M2 MacBook Airにセットしてみるとほぼぴったりサイズ。測ってみるとキーボードブリッジのサイズは30cm x 13 cmでした。内蔵キーボード野サイズに対しては余裕があります。
MacBook Pro 16インチにセットしました。内蔵キーボードの両脇にあるスピーカーに干渉していますね。ただキーボードブリッジの有無で聞こえ方に違いは感じられませんし、そもそも尊師スタイルで作業するシチュエーションはたいてい音を出せないかと思います。さほど気にしなくていいでしょう。
ちなみに、MacBook Pro 13インチ/14インチも同じように両脇にスピーカーがあります。実機では確認できていませんが干渉するはずですのでご注意ください。
あと、ロック解除などで使用するTouch IDにも干渉します。私の場合はApple Watchのロック自動解除機能をオンにしているので問題ないですが、そうでない方はパスワード入力が必要になります。
キーボードブリッジにはゴム足が取り付けられており、しっかり滑り止めが効いていますね。使用中にキーボードブリッジがズレてしまうことはありません。
キーボードブリッジと内蔵キーボードの間にはわずかな隙間が見られます。キートップへの傷は心配不要ですし、熱がこもることもありません。シンプルな構造ですが、細かく計算された設計となっていますね。バード電子のキーボードブリッジを選んでおけば間違いないでしょう。
MacBook × HHKBキーボードで尊師スタイル
それでは実際に尊師スタイルを完成させてみます。といってもキーボードを置くだけで完成です。
なお、HHKBキーボードユーザー以外の方にも参考にしていただけるように、HHKB含む以下のキーボードをセットしてみました。
- HHKB Professional HYBRID Type-S
- REALFORCE R3キーボード(TKL)
- Logicool MX Keys Mini
- Logicool MX Mechanical Mini
M2 MacBook Airで尊師スタイル
M2 MacBook AirにキーボードブリッジとHHKBキーボードをセット。
これはどこまで計算されたものなんだろう、と不思議に思うくらいぴったりなサイズ感ではないでしょうか。乗せているHHKBキーボードの幅は29.4 cm。キーボードのブリッジの幅が30 cmで、M2 MacBook Airの幅が30.41 cmです。
高さのあるHHKBキーボードでは、目線を下げるとわずかにディスプレイの下部分が見えづらくなります。中にはこれが気になる方がいるかも知れません。ただキーボードの位置を少しずらせば改善しますし、通常のノートPC操作時の目線では干渉しないので問題なしです。
私は手首を置く場所が欲しいのでトラックパッドの上にパームレストを置きます。この場合はトラックパッドを使えなくなるので別途マウスを用意する必要があります。
お気に入りでいつも使っているのはFILCOの木製パームレスト。HHKBキーボードには幅300 mmのSサイズがぴったりです。
続いて、手元にあるHHKBキーボード以外のキーボードも乗せてみました。
Logicoolの人気ワイヤレスキーボード「MX Keys Mini」を乗せてみました。サイズ感的にはぴったりですね。薄いキーボードなのでパームレストなしで違和感なく操作できます。
同じくLogicoolのMX Mechanical Miniです。幅が約31.2 cmのキーボードなのでわずかにはみ出ますがサイズ感的な違和感はありません。
REALFORCE R3キーボード(TKL/Mac配列)のサイズとなるとちょっと無理がありますね。一応安定していてパームレストを用意すれば使えなくはないですがおすすめはしません。
MacBook Pro 16インチで尊師スタイル
続いてM1 Max MacBook Pro 16インチでも試してみます。ちなみにサイズは2023年発売のM2 Pro/MaxのMacBook Pro 16インチとまったく同じ(35.57 x 24.81 x 1.68 cm)ですので参考にしていただければ。
HHKBキーボードではサイズ的にゆったり置けます。
MX Keys Miniはコンパクトで軽量、持ち運びしやすくMacBookのお供にするのにぴったりです。
MX Mechanical Miniも同様、ゆったり操作できます。
REALFORCE R3でもMacBook Pro 16ならアンバランス感はないですね。そもそも大きく重いキーボードなので持ち運びには不向きですが、自宅や職場などではアリですね!
キーボードブリッジ不要で使えるキーボードは?
ノートPCとキーボードの相性によっては、キーボードブリッジ不要で尊師スタイルを実現できます。しかし、コンパクトサイズに設計されたものはほとんどダメそう。
足を立てればギリギリいけそうだったMX Mechanical Miniですが、わずかに手前側のゴム足がキーに接触しています。それによる誤作動はありませんがギリギリすぎてちょっとストレス。
HHKBキーボードでは完全に乗っかってしまっています。手持ちのキーボードでさまざまな組み合わせを試してみましたが、基本キーボードブリッジが必要になりそうです。
尊師スタイルのメリットとデメリット
尊師スタイルのメリットは、なんといっても「使い慣れたキーボードを使える」ということに尽きます。キーボードにこだわった結果、尊師スタイルに行き着く、というパターンが多いです。
- ノートPCで使い慣れたキーボードを使える。
- 出先にもキーボード快適なキーボード環境を持ち出せる。
- 別途キーボードブリッジやパームレストが必要になる場合がある。
- 使うたびにセッティングが必要。
- 持ち出す際に荷物が増える。
- 角度によってはディスプレイの下部分が見えづらくなる。
尊師スタイルで作業するのに前準備が必要になること、持ち出す際に荷物が増えることが主なデメリットになります。しかし「お気に入りのキーボードをノートPCでも使える」というメリットは大きく、デメリットを大きく超えます。
キーボードを持ち運びたい場合に持っておくと便利なのがキーボードケース。
上はHHKBキーボード用に購入したケースです。もう2年ほど使っていますがほつもれもなく丈夫。専用ケースでサイズ感はぴったり。キーボードルーフ・キーボードブリッジも入ります。ケース外側にはポケットがありコンパクトなマウスなら収納して持ち運べます。
純正ケースなので価格はお高めです。HHKBキーボード向けのケースは互換性能ある汎用ケースがたくさん売られているので、こだわりがないのであればそっちほうが安くおすすめです。
超快適な尊師スタイル!ぜひお試しを
本記事ではちょっとマニアックな話題である尊師スタイルについてご紹介させていただきました。
愛用するHHKBキーボードをつくるPFUの公式ページには、キーボードは大切な、生涯使えるインターフェースであることを忘れていけない。」とあります。私は「キーボードなんて、ある程度使えば買い直す消耗品」と考えていましたが、HHKBキーボードを使ってみて考えが変わりました。
ちなみに尊師スタイルは公式動画のなかでも登場しています。
まさしく「キーボード愛」の行き着く先が尊師スタイル。ぜひお試しください!