Apple Watchのセルラーモデルとは、各キャリアから用意されている専用のプランを契約することによって、Apple Watch単体で電話通話やモバイル通信が可能なモデルのことです。
セルラーモデルでは、iPhoneが近くにない状態でもApple Watch単体で家族に電話したり、LINEメッセージを送信したり、音楽をストリーミング再生したりできます。
本記事では、Apple Watchの購入を検討されている方に向けて、「セルラーモデルとは」や「GPSモデルとの違い」、「どっちを選ぶべきか」ということについて解説します。
Apple Watchのセルラーモデルとは?GPSモデルとの違い
Apple Watchのセルラーモデルとは、各キャリアから用意されている専用のプランを契約することによって、Apple Watch単体で電話通話やモバイル通信が可能なモデルのことです。
セルラーモデルとGPSモデルの機能的な違いは、Apple Watch単体で電話通話やモバイル通信が可能かどうかのみ。iPhoneが近くにある状態なら機能的な違いはありません。
- 単体で電話通話・モバイル通信できるかどうか
- 価格の違い
- デジタルクラウンのデザインの違い(Series 10を除く)
- 本体ケース・の素材の違い
1. 単体で電話通話・モバイル通信できるかどうか
通常、Apple WatchはiPhoneと接続された状態で使用します。接続されたiPhoneを通じて通知を受け取ったり、電話通話したり、モバイル通信する仕組みです。
しかし、iPhoneが近くにない場合やiPhoneの電源が切れている場合は、Apple Watch・iPhone間の接続が切れてしまうため、iPhoneを通じた電話通話やモバイル通信はできなくなります。
iPhoneが近くになくてもApple Watch単体で電話通話やモバイル通信できる機能を持たせたものが、「セルラーモデル」です。
ジョギングに出掛けるときはiPhoneを持ち出す必要はありません。セルラーモデルなら、音楽のストリーミング再生もナビアプリの使用も電話通話も、iPhoneなしで行えます。
ちなみにiPhoneが近くにない状態で電話がかかってくると、iPhoneとApple Watchの両方がコールされます。iPhoneとApple Watchでひとつの電話番号を共有しているイメージです。
なお、iPhoneが近くにある状態であれば、セルラーモデルとGPSモデルにできることの違いはありません。セルラーモデルかGPSモデルどちらを選ぶかは、iPhoneから離れることがあるかがポイントになります。
2. 価格の違い
セルラーモデルとGPSモデルとでは価格が異なります。2024年現在の現行モデルにおいて、それぞれの価格をまとめました。
Apple Watchモデル | ケースのサイズ | GPSモデル | セルラーモデル |
---|---|---|---|
Seires 10 | 42 mm | 59,800円 | 75,800円 |
46 mm | 64,800円 | 80,800円 | |
Ultra 2 | 49 mm | ─ | 128,800円 |
SE(第2世代) | 40 mm | 34,800円 | 42,800円 |
44 mm | 39,800円 | 47,800円 |
セルラーモデルとGPSモデルとで、Apple Watch Series 10で16,000円の価格差、Apple Watch SE(第2世代)で8,000円の価格差があります。Apple Watch Ultra 2はセルラーモデルのみでGPSモデルはありません。
「iPhoneから離れることはない」ということであれば、価格の安いGPSモデル一択でしょう。
3. デジタルクラウンのデザインの違い
Apple Watchの側面に円いデジタルクラウンがあります。このデジタルクラウンのデザインで、セルラーモデルかGPSモデルかを見分けられます。
セルラーモデルのデジタルクラウンには、赤い円が描かれていますね。これがGPSモデルにはありません。
ただしApple Watch Series 10だけは例外です。
上はApple Watch Series 10のセルラーモデルですが、デジタルクラウンに赤い円が描かれていません。
もしかすると、今後登場するApple Watchのセルラーモデルからは、この赤い円のデザインがなくなるかもしれません。
私はこの赤い円がApple Watch全体のデザインに影響することはないと思っていますが、なかには好みでない方もいるでしょう。デザインが変更されるとしたら、それが気になる方にとっては朗報です。
4. 本体ケースの素材の違い
Apple Watchには、複数のケースの素材が用意されています。ここでいう「ケース」とは、Apple Watchの側面部分のことです。
選択できるケースの素材はApple Watchモデルによって異なり、ケース素材によってはセルラーモデルしか選べない場合があります。
ケースの素材によって選択肢が異なる
Apple Watchモデル | ケースの素材 | 選択肢(GPS/セルラー) |
---|---|---|
Series 10 | アルミニウム | GPS セルラー |
チタニウム | セルラーのみ | |
Ultra 2 | チタニウム | セルラーのみ |
SE(第2世代) | アルミニウム | GPS セルラー |
セルラーモデルかGPSモデルの両方を選択できるのはアルミニウムケースのみ。チタニウムケースはセルラーモデルのみで、GPSモデルの選択肢がありません。
Apple Watchのセルラーモデル単体で通信するには契約が必要
Apple Watch単体で電話通話・モバイル通信するには、
- Apple Watchがセルラーモデルであること
- そしてドコモやau、ソフトバンクなどが提供するApple Watch向けの専用プランを契約する必要があること
この2つが必要です。
セルラーモデルを購入しても、専用プランを契約するかどうかは自由です。契約しなければ単体で電話通話・モバイル通信できないだけで、GPSモデルと同じように使用できます。
キャリアのApple Watch向け専用プラン
現時点で、Apple Watch向けの専用プランを提供する通信キャリア/ブランドは以下の5つです。
キャリア | オプションサービス | 月額(税込) | 登録手数料 |
---|---|---|---|
ドコモ | ワンナンバーサービス | 550円 | 1回につき550円 |
au | ナンバーシェア | 385円 | ─ |
ソフトバンク | Apple Watchモバイル通信サービス | 385円 | ─ |
楽天モバイル | 電話番号シェアサービス | 550円 | ─ |
ahamo | ワンナンバーサービス | 550円 | 1回につき550円 |
プラン名と月額はそれぞれ異なりますが、どれもApple Watch向けに用意されたサービスです。セルラーモデルで単体で電話通話・モバイル通信したい場合は、上記いずれかを契約する必要があります。
注意点としては、iPhoneと同じ通信キャリア/ブランドを利用する必要があること。
例えばiPhoneに楽天モバイルのSIMカード(あるいはeSIM)を挿して使用しているなら、申し込み・利用できるのは楽天モバイルの「電話番号シェアサービス」のみです。
各オプションサービスへはiPhoneの「Watch」アプリからかんたんに申し込みできます。セルラーモデルには「eSIM(イーシム)」が内蔵されているため、申し込みから開通までオンラインで完結します。
詳しくは「Apple Watchセルラーモデルの契約方法」でご紹介しています。セルラーモデルを購入された際の参考にしていただければと思います。
格安SIMでApple Watchのセルラーモデルを使用するには?
Apple Watchのセルラーモデル向けオプションサービスを用意してくれている通信キャリア/ブランドは限られています。
現状、auのUQ mobileやソフトバンクのY! mobileといった通信キャリアのサブブランドやmineoといった格安SIMサービスには対応していません。
セルラーモデル単体でモバイル通信・電話通話したいとなれば、対応する通信キャリア/ブランドに乗り換える必要があります。
直近では、ahamoがサブブランドとしては初めてApple Watch向けオプションサービスを提供してくれました。Apple Watchユーザーとしては、さらに選択肢が増えることに期待したいですね!
ファミリー共有設定について
Apple Watchのセルラーモデルには、iPhoneを持っていない家族でもApple Watchを活用できる「ファミリー共有設定」という機能があります。
Apple Watchを使うにはiPhoneが必要ですが、ファミリー共有設定を使えばApple Watch単独で利用できます。iPhoneを持っていない家族に持たせる見守りデバイス的な使い方が想定された機能です。
ファミリー共有設定を利用できるのは、日本ではauと楽天モバイルのみ。
ウォッチナンバー (au) | Apple Watchファミリー共有 (楽天モバイル) | |
---|---|---|
月額 | 385円 | 1,078円 |
データ通信容量 | 250MB/月 | 250MB/月 |
国内通話料 | 20円/30秒 | 20円/30秒 |
国内SMS | 3.3円/通 | 3円/通 |
親回線なしでの単独利用 | 〇 | ✕ |
auのウォッチナンバーはau回線を使っていなくても単独での申し込み・利用が可能です。つまり、iPhoneを格安SIMでお使いの方でも、Apple Watch単体でモバイル通信・電話通話できます。
ただ、ウォッチナンバーでは新たな電話番号が付与され、単独のApple Watchとして機能するため、通知などの連携はできません。
- 一部の機能やアプリが使用できない。
- 服薬、呼吸数、不規則な心拍の通知、心電図、心房細動履歴、周期記録、睡眠、手首皮膚温、血中酸素ウェルネス、オーディオブック、Remote、News、ホーム、ショートカット
- 月額385円(税込)のほかに通話料が別途発生する(iPhoneのプランとは共有できない)。
- データ容量は250MB込みだが、それを超えると通信速度が128kbpsに制限される。
機能は大幅に制限されるものの、「Apple Watch単体で電話できればそれでいい」という方にとっては、利用する理由がでてきます。格安SIMなどをお使いの方で興味のある方はチェックしてみてください。
どっちがいい?筆者がセルラーモデルを選ぶ理由
現在、私はメインのスマートウォッチとしてApple Watch Series 10のセルラーを愛用しています。
毎年アップデートされる度に買い替えるほどのApple Watchファンですが、これまで購入してきたApple Watchのほとんどはセルラーモデルです。
ここでは、私がGPSモデルではなくセルラーモデルを選ぶ理由についてご紹介します。
理由1:iPhoneから離れられる
「常にiPhoneを携帯しているからGPSモデルでいい」という意見があります。
それは決して間違いではなく正しいのですが、私はセルラーモデルを使い始めてから「iPhoneから離れられる」というメリットを感じています。
セルラーモデルならiPhoneがなくても大事な電話を見逃すことはないですし、LINEメッセージの送受信もできます。セルラーモデルを使い初めてから、iPhoneを自宅において出掛けることが多くなりました。
いざiPhoneから離れてみると開放感を感じるというか、身軽になったような気がするんですよね。セルラーモデルのおかげで、iPhoneといい感じの距離感を保つことができていると感じています。
GPSモデルを検討されている方は、いちど「iPhoneから離れられる」という視点からセルラーモデルのメリットを考えてみてください。
理由2:事故など万が一のときの頼りになる
私はバイクが趣味でひと気のない山道を走ることがあります。もしそんなシチュエーションで事故を起こしてしまい、動けない状況で手の届く範囲にiPhoneがなかったら。
悪い想像をするのは気が進みませんが、これは普通にあり得る話です。Apple Watchのセルラーモデルなら、例えiPhoneが近くになくても助けを呼べます。
私の場合はバイクですが、怪我をして動けないという状況は車や自転車、ジョギングなどでも考えられます。災害時にも同じことが言えるかと思います。
他にもサーフィンなどのマリンスポーツで沖に流されてしまった、登山中にiPhoneを谷に落としてしまったなど。
電波が届く環境ならこのような状況でも身に付けているApple Watchで電話できるのは心強いと思いませんか?
セルラーモデルを身に付けていると、万が一のときにはいつでも身に付けているApple Watchで誰かに連絡をとれるという安心感があります。
まとめ:セルラーモデルとGPSどっちを選ぶべきか
本記事では「セルラーモデルとは」や「GPSモデルとの違い」、「どっちを選ぶべきか」ということについて解説しました。
「iPhoneと離れることはない」という場合はGPSモデルでOKです。
セルラーモデルを選ぶとなると購入価格が上がりますし、単体で電話通話・モバイル通信するとなると専用プランの契約が必要となり、385円〜から550円の月額料金がかかってきます。
iPhoneと離れることはないという方のほうが圧倒的に多いはず。購入するモデルによってはGPSモデルの選択肢がない場合もありますが、基本的にはGPSモデルがおすすめです
ただ、セルラーモデルを愛用する私としては、ぜひセルラーモデルを検討してほしいですね!
- iPhoneが近くになくてもApple Watch単体で電話通話・モバイル通信ができる。
- iPhoneと離れられることで、iPhoneとほどよい距離感を保つことができる。
- 万が一の事故などの緊急事態に陥ったとき、Apple Watchで助けを呼べる安心感がある。
セルラーモデルとGPSモデルどちらを選ぶかは、上のメリットに魅力を感じるかどうかです。
自分の使い方に当てはめてみて、魅力を感じなければGPSモデルでOK、魅力を感じるならぜひセルラーモデルを検討してみてください。
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よくある質問
- Apple Watchのセルラーモデルとは何?
-
各キャリアから用意されている専用のプランを契約することによって、Apple Watch単体で電話通話やモバイル通信が可能なモデルのことです。
セルラーモデルでは、iPhoneが近くにない状態でもApple Watch単体で家族に電話したり、LINEメッセージを送信したり、音楽をストリーミング再生したりできます。
- セルラーモデルとGPSモデルの違いは?
-
以下の違いがあります。
- 単体で電話通話・モバイル通信できるかどうか
- 価格の違い
- デジタルクラウンのデザインの違い(Series 10を除く)
- 本体ケース・の素材の違い
- セルラーモデルを使うのに月額料金はかかる?
-
セルラーモデル自身に月額料金はかかりません。
ただし、Apple Watch単体で電話通話・モバイル通信する場合は、各キャリアの専用プランを契約する必要があります。その専用プランに月額料金がかかります。
- セルラーモデルを使うには必ず専用プランを契約する必要がある?
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その必要はありません。専用プランを契約するかどうかは自由です。
契約しなくても、単体での電話通話モバイル通信ができないだけでGPSモデルと同じように使用できます。
- 格安SIMでもセルラーモデルを使える?
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格安SIMはセルラーモデルに対応していません。
iPhoneの回線を、Apple Watch向けの専用プランが用意されているドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル、ahamoいずれかに乗り換える必要があります。
- iPhoneが近くにないとき、セルラーモデルではどういうことができる?
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iPhoneに届いた通知を受け取ったり、電話通話したりLINEメッセージをやり取りしたり、マップアプリでナビを使用したり、音楽のストリーミング再生を利用したりと、iPhoneが近くなくても、近くにある状態と同じように電話通話・モバイル通信できます。